2005年11月07日(月) |
誰でも強ければ名人になれるのだ! |
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将棋のプロになるためには、棋士養成機関である奨励会に入らないといけない。ここには6級から3段まであり、3段から4段になるとプロして認められる。ただ、奨励会に入るにはアマチュアで4・5段くらいの力がないと難しく、しかもプロ棋士の推薦が必要である。その難関を突破して入会しても23歳になるまでに初段、そして26歳までに四段にならなければ即退会させられ、プロになる夢は断たれてしまうという厳しいルールがあった。
そのルールに従って9年前に退会させられた瀬川晶司さんは、プロになりたいという夢を捨てきれずアマチュア棋界で活躍し、特別出場したプロ棋戦でも勝率7割を超え、今年の二月にはプロ入りを求める嘆願書を提出、棋士総会で特別にプロ編入試験を実施することが決まり、その六番勝負の弟5局が11月6日、千駄ヶ谷の将棋会館で指され瀬川さんは高野秀行五段(33歳)に勝ち3勝目をあげてみごと合格、同日付で四段棋士(つまりプロ)として認められたのである。
今、日本で将棋だけで生活してる人はほんのわずかであり、その小さなコミュニティに入るにはさまざまな関門が設けられている。ところが今回の措置は、独自のやり方で強くなった多くの人に門戸を開くことになった。こうなるともはや年齢も国籍も無関係である。もう一つ忘れてはならないのは将棋ソフトの進化である。日本将棋連盟はプロ棋士が勝手にゲームソフトと対戦することを禁止するお達しを出した。これは、もしかしたらプロ棋士がコンピュータに負けるかも知れないという危機感の表れである。
実際に将棋ソフトはかなり強くなっていて、詰め将棋解析機能も搭載してるので終盤の寄せは完璧である。人間と違ってミスをすることもない。そんな将棋ソフトを対戦相手に腕を磨くことで、アマチュアでもものすごく強くなれる可能性が出てきたのだ。いつか人間の名人が将棋のゲームソフトに敗れ去って、名人位が「AI将棋」とか「銀星将棋」といった将棋ソフトになってしまうのならそれもまた面白いという気もするが、伝統がぶちこわされると心配する方も多いだろう。
将来のことを考えるならば、これは将棋というマイナーな世界に追いやられた競技にとってはかなりのチャンスである。世界中から誰でも名人位を目指すことができるのである。ネット対戦で予選を行って、最終的に全世界の頂点に立つ真のワールドチャンピオンを選ぶそのイベントはかなりの盛り上がりを見せるだろう。もしかしたら中国や韓国からものすごく将棋の強い人が出現するかも知れない。なんだか楽しみだぜ。そんな気はないことを先に書いておくが、もしもこのオレが一念発起して「名人になるんだ」と将棋に没頭したとしても、ちゃんと道は用意されているということなのだ。真の世界王者がアキバ系オタク将棋好きの中から出現することをオレは密かに期待してしまうぜ。
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