2005年10月25日(火) |
フェロシルトっていったい何だ? |
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フェロシルトというリサイクル製品がある。これは2005年春まで石原産業が製造販売していた埋め戻し剤で、酸化チタンの製造過程で出る廃硫酸を再利用したものである。土と混じると固くなるという性質があり、三重県では「三重県リサイクル製品利用推進条例」の認定製品とされていた。しかし、酸化チタン廃棄物は実は放射性物質を含んでいるため、このフェロシルトにも当然のことながら放射性物質が含まれる。
それどころではなかった。実はこのフェロシルト自体が産業廃棄物のデパートだったのである。製造段階で六価クロムや廃塩酸などのいろんな廃棄物をてんこ盛りにして混入するというむちゃくちゃなことが行われていたのだ。製造プラントにわざわざ混入用のパイプが設置され、立ち入り調査の時にはパイプを一時取り外すという手際の良さでこの事実は隠蔽されていたという。
この産業廃棄物、いや自称「リサイクル埋め戻し剤」が愛知、岐阜、三重の三県で約70万トン不法投棄、いや自称「埋め立て工事」に使用されていたのである。瀬戸市北丘では12万トンが不法投棄され、オオサンショウウオ棲息地にまで雨で流れだし、川がフェロシルトの鉄分で真っ赤に汚れていることが住民によって報告されてとか。
事態が明るみに出たことで石原産業では今年4月にフェロシルトの製造を中止。すべての埋設場所からの自主撤去を表明しているが費用も掛かるために完了時期は未定だという。愛知岐阜三重の3県では早期の撤去とともに、本来は産業廃棄物とするべき廃液を不正に製造ラインに流し込んで産廃処理コストを削減するための会社ぐるみの行為だった疑いもあるとみて調べを進めている。
また、このフェロシルトは1トン150円という安価で販売されていたわけだが、これを購入した業者に石原産業は「用途開発費」や「改質加工費」という名目で1トン当たり3500円前後を支払っていた。要するに「ゼニを払って引き取ってもらっていた」わけで、石原産業側にも「フェロシルトはコストを掛けてでも処理したい廃棄物」という認識があったことは間違いない。危険な廃棄物を「リサイクル製品」と偽って不法投棄していたとしたら、石原産業の責任は極めて重い。もしもこれが会社ぐるみの犯行ならば下っ端の社員ではなく社長に対して実刑判決を喰らわせるべきである。
それにしても70万トンの廃棄物、撤去するのに掛かる費用は約100億円と推計されてるが、実際にはもっと掛かるかも知れない。2004年度の売上高740億円の化学メーカーにとってこれは大きな出費である。企業業績の悪化は間違いない。投資家のオレとしては火事場泥棒みたいなもんだがとりあえず石原産業株の空売りを仕掛けることにするか。会社ぐるみの犯行となればヘタすると会社が倒産ということになるかも知れないからなあ。そうなると空売り分が丸儲けだぜ。
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