2005年08月06日(土) |
甲子園球児はそんなに立派なのか? |
携帯用URL
| |
|
オレは高校野球が「清く正しく」なんて幻想だと思っている。高校の野球部なんてどこもたいてい封建的で暴力的で、しごきやいじめは日常茶飯事であり、先輩による上手な下級生つぶしや集団での犯罪行為もきっと日本全国さがせばかなりあると思っている。楽天の岩隈投手さえ、いじめでやめようと思ったこともあると語っている。強い学校ほどその傾向は顕著だろう。みんな楽しく野球に打ち込んでるなんて学校はほんの一握りかも知れないのだ。ただ、楽しいだけでは強くなれないからこの不条理は存在するのである。
健全な精神は健康な肉体に宿るなんてウソだ。肉体が健康でも精神が不健全なヤツはいくらでもいるし、不健全な肉体でも健全な精神の持ち主だっていくらでもいる。そんなものは全く関係ないのであり、教養や道徳を身につけることをおろそかにして筋肉ばかり鍛えたヤツほど始末に負えない者はないのである。若いうちからお山の大将になって「てめえいったい何様だ」と思いたくなるような傲慢で鼻持ちならない人間になってしまうのだ。スポーツばかりやるというのはそういうことである。
しかし、高校野球をはじめとするアマチュアスポーツの建前は「清く正しく」なのであり、部員の不祥事が発覚すれば出場停止などの処分が科せられるわけだ。その不祥事は例えば万引きも強姦も殺人も無免許運転も同等である。むろんどれも悪いことには違いないのだが。兵庫県の神戸弘陵高校みたいに部室での集団喫煙が発覚して出場を辞退した高校もある。
しかし、高校球児がすべて非喫煙者だなんてありえないじゃないか。例えばダルビッシュはどうだ?筋金入りのヘビースモーカーだったじゃないか。事後にわかった場合は処分しないのか。甲子園大会中に宿舎で集団喫煙していたのが写真週刊誌にスクープされた愛知県の享栄高校はどうだ?そのまま2回戦を戦ったじゃないか。なぜ不戦敗にしなかったんだ。少なくとも東京大学を目指す受験生の喫煙率よりも、全国の高校球児の喫煙率の方がはるかに高いとオレは断言する。
もしも本当に「喫煙球児」を締め出したいのならば、試合前に医師が口中チェックなどを行って喫煙反応が出れば選手資格を失うことにすればいい。そこまで徹底してやることもせず、たまたま見つかったりバレたりした者だけが罰を受ける仕組みはあまりにも理不尽ではないか。はじめから「野球さえうまかったら人物は問わない」ということを宣言すればいい。大学入試だって、休憩時間に制服で喫煙していたからと不合格にされることはないだろう。実際のところ未成年喫煙者に大甘な社会が存在することが問題である。子供がタバコ吸っていれば警官はその場で逮捕拘留するくらいの取り締まりをして欲しい。公立中学では喫煙くらいといちいち注意しない学校もある。停学などの処分を行うのは私立中学だけである。
不幸にも今回の明徳義塾高校の出場辞退で監督の地位を追われることになった馬淵史郎氏だが、その指導力や野球理論は高く評価されている。星陵高校打倒のために松井秀喜を完璧に抑えた「五打席連続敬遠」は高校野球の指導者は誰も思いつかなかった最高の作戦だった。勝つためにそこまで非情に徹して、卑怯に戦えるというのはすばらしいことである。彼を新たに監督として迎える高校は必ずあるだろう。数年後、無名の高校が彼に率いられて甲子園にやってくるのは間違いない。また強打者を全打席敬遠するのだろうか。
前の日記 後の日記