2005年06月19日(日) |
井村屋、こんなカステラはだめだ! |
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オレはカステラが好きだ。その中でも一番オレが好きなのは、長崎の「福砂屋」のカステラだ。カステラの中でこれに勝るものはないと断言する。ただ、いつもいつもその福砂屋のカステラが手に入るわけではないので、仕方なく他のもので代用するのだが、今日オレはカステラにまつわるものすごく悲しい体験をしたのである。今夜はそのことを記して、世間にオレの悲劇について訴えたいと思う。
昼飯とおやつを買うためにファミリーマートをなんとなくブラブラしていたオレは、ふとその店内にカステラを発見したのである。そこには「長崎」「しっとり芳しい」「かすてら」「傳承仕立て」「井村屋謹製」の文字が並んでいた。その中の「長崎」「かすてら」の二つのフレーズがオレの脳髄を刺激したのだ。オレはどうしても買わずにはいられなくなった。
長崎カステラと言えば福砂屋か文明堂だ。井村屋なんて聞かないぞとオレの内心の声はささやいたが、「どうしてもカステラを喰いたい」というオレの欲求はその声を無視し、通常ならしっかりと行うはずの生産地のチェックも怠っていた。あとでよく確かめると、井村屋製菓株式会社の所在地は三重県津市となっていたのだが、そのときは見落としていたのだ。
持ち帰ってさっそく包装の銀紙を破ったところ、さすがにコンビニで販売されてるだけあって、このカステラは食べやすいように五切れにすでに分割されていたのである。その一切れを手にとってぱくっとした後でオレは、底に敷かれた紙がカステラにへばりついてることに気づいた。さすがに健啖家のオレも紙までは喰えないのでその紙をはがしてから喰おうと思ってそっとはがしかけると、なんとカステラ底部にくっついたザラメ糖が紙と一緒にはがれてしまうのである。なんということだ。
カステラを喰うときの最大の楽しみは、この底にくっついたザラメ糖を歯で「がりり」とかみ砕く瞬間なのだ。ところが紙をはがせばザラメ糖もカステラの端の茶色の部分も全部紙にくっついてしまい、カステラの方には何にも残らないのである。おいしい部分はみんな紙と一緒にはがれてしまうのである。こんなひどいことがあるだろうか。
オレはあきらめきれず、結局その紙ごと食べることにした。紙に付着したおいしいところを舌でこそぎとって、くちゃくちゃの紙だけになってから吐き出した。吐き出してから悲しくなった。なんてオレは食い意地の張った汚い人間なのだろうか。カップに入ったアイスクリームを食べるときは、オレは必ずカップのフタに付着した分を舐めてから食べ始める。それは果たして大の大人がすることだろうか。ああ、オレはなんて恥ずかしいオッサンなんだ。そして今オレはカステラにくっついた紙を食べている。どうしてオレにこんな屈辱的なことをさせるのだ。なんてことだ。
これも全部井村屋のせいである。もっとまともなカステラを作ってくれ。いや、カステラ自体はおいしかったから許す。紙がちゃんとはがれるようにしてくれ。オレの望みはそれだけだ。オレの望みはただ、カステラの底にくっついたザラメ糖をカステラと一緒においしく味わうことだけなのだ。そのせっかくの楽しみを奪いやがって馬鹿野郎。
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