2005年06月07日(火) |
偽エンピツで大学受験に失敗した人たち |
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中国の大学受験「全国統一試験」は日本のセンター試験などとは桁違いの規模だ。たかだか50万ほどのセンター試験の約17倍の受験生が集まるのである。今年の試験は6月7・8日に実施される予定で、募集定員475万人に対して志願者は867万人もいるのだ。あの反日デモを見れば質はどうかと思うが、とにかく人間の量だけはやたら多い国なのである。
さて、大量の受験生の答案を処理するためには日本のセンター試験同様にマークシート方式で、正解の所を鉛筆で塗って解答させるか、数字を記入させるOCR方式のいずれかが考えられるのだが、その機械が粗悪な代物で2Bの濃さしか読めないという報道には爆笑した。なんてダメマシンなんだ。消し方が不十分で二カ所に塗られたように見えても、その両者を比較して濃い方をわざわざ読み取る日本の機械の精密さとは大違いで、少しでも薄ければその答えははねられてしまうのである。
2Bしか使えないということで、受験シーズンともなると解答に必要な2Bの鉛筆が品薄になってしまう。そこで登場するのが、偽2B鉛筆である。ホンモノが一本0.5元(日本円で約5円)するのに対して、粗悪な偽物は一本0.2元で買えるのだ。この偽物は色が薄くて、機械がちゃんと読み取ってくれないために、鉛筆代のわずかなゼニをケチって受験に失敗するヤツが毎年大勢居るそうである。そんなに鉛筆が足りないのなら日本からまともなのを輸出してやれよ。ただその値段は桁違いになってしまうけどなあ。
実際に2001年には山東省青島市の学生600人が偽2B鉛筆を使って全員0点となり、翌年に再受験を強いられたという事件があったという。泣くに泣けない馬鹿馬鹿しい話である。
もう一昔前のことだが、大阪の地下鉄に自動改札が導入されたときオレは切符の入れ方を色々試してみた。裏返しでも横向きでもOKだった。だが、旅行先の札幌で乗った地下鉄は「切符を表向きで入れてください」という注意があったので、その自動改札機の能力の低さに驚いたものである。しかし、切符を正しい向きに入れるのは当たり前のことで、大阪の自動改札の方こそ、関西人の横着さに合わせていたオーバースペックなものだったのかも知れない。ただ、このオーバースペックこそが、日本のハイテク技術を支えてきたことを忘れてはならない。
試験の答案を機械に読み取らせるという日本の技術を中途半端に模倣してできあがった不完全な機械の気まぐれに、無理やりに人間を合わせないといけないのがどうやら中国流みたいだ。ただ、2Bの濃さだけを読み取る機械なら、筆圧の弱い受験生はちょっと可哀想である。薄くしか書けない可能性があるからだ。韓国では携帯電話を使った集団カンニングが発生した。中国では偽2B鉛筆で大量の受験生が浪人に追い込まれた。どちらの国も、この受験というシステムに関しては日本よりもはるかに劣っているみたいだなあ。しかしその偽物鉛筆、一度見てみたいぜ。日本にも輸入してくれよ。
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