2005年05月17日(火) |
寺町商店街、真昼の惨劇 |
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京都の寺町商店街といえば、観光客で賑わうところである。梶井基次郎が檸檬(レモン)を買った八百屋も確かこの通りにあった。信長が殺された当時から場所は移転しているそうだが、本能寺もこの通りに面している。京都で学生生活を送った私にとって、かなり好きな場所であった。そこで80年以上昔からタバコや雑貨を販売していた土産物屋「好栄堂」に白昼なんと暴走ワゴン車が突っ込んで、店にいた店員の女性が頭を強く打って死亡、客のノルウェー人男性とその息子がケガをしたのである。なんと痛ましい事故であることか。
商店街の土産物屋で買い物をしていてクルマに突っ込まれるなんて誰も思わないだろう。しかも寺町通りのこの部分は許可車両以外は通行止めになってるのである。五条署では、ワゴン車を運転していた生花店アルバイトの男(25歳)を業務上過失致傷の疑いで現行犯逮捕し、業務上過失致死傷容疑に切り替えて調べているという。
現場は東西に走る姉小路通が、南北に走る寺町商店街に突き当たるT字路になっていて、ワゴン車は姉小路通りを東進してきて(つまり、Tの字の下方からやってきて)そのまま直進して突き当たりにある店に突っ込んだのである。この男は花の配達を終えて、中京区にある生花店に戻る途中だったという。調べに対し、「姉小路通を走っていたが、途中から記憶がない」「過去に記憶が途切れたこともあり、薬を飲んでいた」などと話しているとか。男にけがはなかった。
「記憶がとぎれた」「薬を飲んでいた」ということは、病名が書かれていないがてんかんの発作を起こしたということなのだろうか。そして、記憶がなかったのならこの男は罪に問えないということになるのか。70m前から駐輪中の自転車を次々となぎ倒し、通りに面した家の壁にも接触しながら猛スピードで暴走して、店に突っ込んだ後はすぐに後退して他のクルマに激突して停まったという。なんてことだ。故意に起こしたことと、意識を失っていたこととの違いこそあれ、状況としてはついこの間の仙台のアケード街暴走と同じようなものである。
白昼の暴走車が引き起こしたこの惨劇を多くの人が目撃し、恐怖を感じて立ちすくんだのだ。こんな事故があるたびにオレはいつも思う。記憶を突然失うような疾患のある人には絶対に運転免許を与えるなと。そんなクルマにはねられて死ぬなんて、あまりにも理不尽すぎる死である。オレは絶対にそんな死に方はしたくない。自分が死ぬことの必然についてちゃんと理解した上であきらめて死にたいのだ。脱線事故の死もこの暴走車による死も、理不尽さではどちらも同じである。
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