2004年12月29日(水) |
誰が津波からモルディブを守ったか? |
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インド洋に浮かぶ島々から成るモルディブは1965年にイギリスから独立した。東西約120キロ、南北約754キロの範囲に26の環礁、約1200の島々が点在する。人が住む島はそのうち約200で、全人口は約28万人。首都のマレに四分の一の約75000人が住む。国土の8割は海抜1m以下の低地である。
地球温暖化による海面上昇の影響を最も受ける国として、この国が温暖化対策を世界に訴えてきたことをご存じだろうか。スマトラ沖地震の津波被害に対しても危険だったはずのこの国が、かなり小さな被害で済んだのはなぜか。それは日本のODAのおかげだった。
1987年、モルディブの首都マレはオーストラリアで発生したサイクロンの影響による高潮で大洪水に見舞われた。その時島の3分の1が水没したという。日本のODAによる護岸工事はその翌年から始まり、大成建設などの日本の大手ゼネコンがその工事を請け負った。総額70億円掛けて島の全周6.8キロを防潮堤や消波ブロックで覆う工事が15年の月日を経て完成したのである。
完成した当初はその無粋な外観や景観破壊が問題視され、外国人の中にはあからさまに批判する新聞記者もいたそうだ。リゾート地にこんな不格好なものを造りやがってというくらいの感覚だったのかも知れない。オレも実は日本の海岸線の多くの部分が防潮堤に覆われていることに抗議したい一人だったのだ。しかし、自然の猛威からちっぽけな人間を守るためには、ある程度そうした自然を破壊する構造物も必要だったということである。
モルディブに造られた防潮堤は、津波による壊滅的な被害から島を見事に救ってくれた。首都マレでは3分の2が冠水したが奇跡的に死者は出なかったという。すぐお隣のスリランカで一万人を超える死者・行方不明者が出ていることと比較すると、いかにこの防潮堤が島民の命を守るのに役立ったかがわかる。
マレ南部の海岸通りには、「日本とモルディブの友好のため日本政府が提供した支援で作られた」と消波ブロックに記した記念碑が海に向かって建っているという。今回の津波から守られたことでさらにモルディブでは親日的なムードが高まるだろう。ODAはこういう国にこそどんどん使うべきである。間違ってもそのゼニで軍備を拡張し、国民にはODAを日本から受けていることを全く教えないくせに内政干渉だけはせっせと行うあの恩知らずの国家には、断じてゼニを与えてはならない。
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