2004年10月09日(土) |
無敵のシーマはいまどこに? |
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数年前、その男は手広く商売をしていてかなり羽振りが良かった。クルマもスープラ、フェアレディZ、そしてシーマというふうに乗り継いでいた。ところがいったん売り上げが落ち込むとたちまち坂道を転げ落ちるように男の店の経営状態は悪化した。そんなところに詐欺師達は近づいてくるものである。商品の売り手と買い手を紹介してくれ、仲介をするだけですぐに数十万儲かるというオイシイ話が持ちかけられたのである。
最初はちゃんと現金引き換えに商品は納入され、それを買い手に引き渡すだけで利益は出た。それに味をしめてどんどん金額は大きくなった。「先にカネをもらえばもっと安く仕入れることができる」「今回は代金は後払いにさせて欲しい」ゼニを払ったのに商品は届かない。売り渡したはずの商品はそのままだまし取られた。その結果、店の大事な運転資金である莫大なゼニが消えてしまう。いわゆる取り込み詐欺というヤツだったのである。
その男をよく知る立場にいたオレは、初期の段階、つまり騙され初めの頃に「それって怪しいなあ。取り込み詐欺かも知れへんで。気ぃつけんとあかんで!」と警告してやったのだが、「絶対大丈夫や」と男は豪語して全く聞く耳をもたなかった(結局大丈夫じゃなかったわけだが)。
さて、運転資金が枯渇して困った男は、その詐欺師どもとウラでつながっていた闇金でゼニを借りてその場を乗り切る。1700万借りたのが一ヶ月後に返すときは2000万になった。それから約半年のうちに吸い取られたゼニはなんと1億4000万になった。もはや商売どころではなかった。どこから手に入れたのか、男の振り出した小切手を持つヤクザが次々と店に現れた。男の経営していた会社は倒産し、もちろんその男自身も破産した。まだローンが残っていたシーマは金融屋がそのまま借金のカタに持っていった。名義はすでに消滅したその男の会社のままで・・・
それから数年、今でもそのシーマが駐車違反をするとその会社のあった住所にハガキが届く。もちろん今は縁もゆかりもない人が住む。いったいどういうカラクリなのか、そのシーマは今も大阪市内で駐車違反やり放題の便利なクルマとして使われているのだ。
駐車違反者が交通反則金を支払わない場合、車の所有者に「放置違反金」を支払わせることを盛り込んだ改正道交法が近々施行される。違反金は駐停車禁止で1万8000円、駐車禁止で1万5000円。都道府県の公安委員会が車両の所有者に納付を命ずるという。そんなルールを定めても、この無敵のシーマの前には全く無力だ。今も大阪市内のどこかの路上にあのシルバーのシーマは駐められているのだろう。
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