江草 乗の言いたい放題
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2004年08月10日(火) 美浜原発緊急停止〜猛暑を乗り切れるのか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 8月9日午後、営業運転中の関西電力美浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力82.6万KW)で警報が鳴り原子炉が緊急停止した。関電が調べたところ、タービン建屋内に高温の水蒸気が充満。中で作業していた作業員11人がやけどを負い、うち4人が死亡し、2人が重体、2人が重傷だった。国内の原発で営業運転中に死者が出たのは今回が初めてで、福井県警は捜査に乗り出した。外部への放射能漏れはないという。

 関西電力は定期自主検査記録で3600件を超す不正記載を行っていたことが判明するなど不祥事が連続しており、今回の事故で経営トップの責任問題が浮上するのは必至である。それにしても、放射能を含まない二次冷却水が漏れただけでこれだけの大事故になってしまうのである。そんな危険な場所で作業をさせられる下請け企業(木内計測)の技術者達もたまったもんじゃない。

 今回の事故の原因は低圧給水加熱器と脱気器と呼ばれる装置の間にある「復水管」(炭素鋼製、直径約56センチ、厚さ約1センチ)に穴が開いており、ここから蒸気が噴出したからだという。そんな太くて分厚いパイプに穴が空くのだから二次冷却水といえどもかなりの破壊力である。

 復水管は定期点検で肉厚が減っていないか超音波で調べることになっていた。ところが今回破れた部分は28年間全く検査なしに放置されていたのである。ここを通過する水の温度は150度に達する。300トン以上の水漏れが発生すると自動的に警報が鳴って原子炉が緊急停止するようになっている。ということは、300トン以上の高温高圧の蒸気が作業員達の頭上から降り注いだのだろうか。事故当時、タービン建屋内では211人が作業をしていたのである。これだけの犠牲で済んだのは不幸中の幸いである。しかし、300トンまでなら緊急停止しないということは、その程度なら故障ではないという意味で、それもまた問題である。

 原発みたいなしょっちゅう故障や事故を起こしている不安定な仕組みに我々のエネルギー源の3分の1を頼ってることはまことに危なっかしい。通常運転でもこのようにトラブルが発生するものを、もしも巨大地震が襲えばどうなるのだろうかとオレは心配してしまう。仮に地震で配管が切断され冷却不能で炉心溶融という事態になったとしても、阪神大震災の時と同じく「想定外の揺れだった」で片づけられそうだ。もっともそのときは言い訳をする人も被害者もみんなあの世に逝った後かも知れないが。

 さて、緊急点検に入るためには関西電力は残りの原発も次々と停止しなければならない。昨年夏に東京電力の原発がすべて停まった時と同じである。たまたま昨年は冷夏だったから乗り切れたが、今年はかなり暑いのである。もしも電力不足が発生したらどうなるんだ。冷房が使えないなんて事態になれば、どうやってこの大阪の夏を乗り切ればいいのか。やっぱり逃げ出すしかないのだろうか。かなり心配なのである。 人が事故で死んでいるというのにそんなくだらない心配をする不謹慎な人間が実はオレなのである。人命に比べれば暑さなんて我慢すべきなのである。


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