2004年08月04日(水) |
マクドの勝ち、吉野家の負け |
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マクド(関東ではマックと呼ぶらしいが、関西人のオレにはマクドだ。しかし、京都のあの変な茶色のマクドは気に入らない。いっそのこと京都だけは魔供堂と漢字表記したらどうだ?)は59円バーガーで戦略的大失敗をした後、長く低迷していたが最近になってやっと業績が上向きになってきたらしい。日本マクドナルドHDが発表した2004年6月中間決算は営業利益が26億4900万円と大幅な黒字に転換し、最終利益も11億1600万円と前年同期の1億3300万円を大きく上回った。プロモーションや新商品効果で既存店売上高が+4.2%も伸びたためだという。
あの59円バーガーは、日本中の小遣いの足りないサラリーマンにとって救世主だった。「ハンバーガー2個と水」だとわずか113円で昼食を済ませられたのである。しかし、マクドの従業員は大変な苦痛を強いられた。売り上げと労働が3倍になっても利益は変わらない。これは大いに従業員のやる気を失わせたのである。価格を元に戻せば今度はおっさん達が来なくなってしまい、ますます売り上げが落ちた。こうして長い低空飛行が続いていたのである。今回の好調の要因は、白身魚を使った「マックディッパー」などの新商品効果やプロモーションの実施に加え、サービスの向上に努めたことなどが奏功したと原田社長は分析している。
一方外食産業のもう一方の雄、吉野家はBSE騒ぎのためにアメリカから牛肉輸入が停止して以来、主力商品を失い、今後の方向性を見失って迷走している。7月の既存店売上高は前年同月比35.3%減となり、4カ月連続で3割超の落ち込みが続いていることが明らかになった。同社では「7月は販売促進キャンペーンがなく、落ち込み幅は想定の範囲内」とし、8月は新たなキャンペーンで巻き返しを図るとしている。学生が夏休みに入る8月というのは吉野家のような外食産業にとっては不利なはず。そんな時期に新たなキャンペーンを打ってもさほど効果があるとは思えないのだが。
牛丼に代わる新メニューを開発しようと吉野家はこれまで計十数種類のメニューを発売してみた。ところが客の反応は逆で「吉野家は何を売っているのか分かりにくい」混乱を招いただけだった。今後は絞り込んで牛カレー丼・牛鉄鍋膳・豚丼・角煮きのこ丼の4品目を新定番メニューにするらしい。この新定番メニューを4品食べると、抽選で冷凍牛丼などが当たるキャンペーンをスタートするという。「なんとか流れを変えたい」と吉野家も必死なのである。
あえて主力のハンバーガーに高級品(といってもわずか数百円だが)を投入して客を取り戻したマクドと、戦略的な見通しを持てずに迷走してますます顧客離れを招いた吉野家、この二社の姿は日本の他の外食産業にとって大いに参考になる。これから生き残るのはどの店なのか。経営者が正しい判断を下して舵取りできるかどうかがますます大切になってくるのである。
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