出張してビジネスホテルに泊まる夜、基本的にオレはある恥ずかしい行動をとる。お菓子や飲み物を買い込んで、翌朝までもう部屋から一歩も出る必要はないという状況を作り出してからシャワーをあびる。夏はやはり冷水が気持ちいい。汗を流してさっぱりした身体をバスタオルで拭き、通常ならここで浴衣やバスローブやパジャマに着替えるところだが、オレはそうはしない。
そのままバスルームを出て、机の上で開いたノートパソコンの前に座る。そのままこうして日記を書いたりWEBページを読んだりする。全裸でモバイル、全裸で日記書き、全裸でゲーム、とにかくパソコンがあればオレは退屈することはない。今度はリモコンでTVのスイッチを入れてみる。全裸でテレビだ。そのまま野球中継を観戦する。全裸で阪神の応援だ。さらにドラマを観る。全裸で冬ソナだ。ああ、なんてこの全裸というものは心地よいのだろうか。
思えば子どものころ、風呂上がりにフリチンのままでそこら中を走り回り、バスタオルとパンツを持って母親がオレを追いかけ・・・なんてことがあったかどうかは実際には思い出せないのだが、そんなときの子どもの解放感はよくわかる。肌に何もくっついていないということはこんなにも気持ちがいいことなのだ。
ところが大人になるとそういうわけにはいかない。5歳の男の子が真っ裸で海辺やプールサイドを走り回っていてもただのほほえましい光景だが、40歳の男が真っ裸で海辺やプールサイドを走り回ればすぐに警察に通報され、公然わいせつ罪かわいせつ物チン列罪て逮捕されてしまう。(ちなみにこの二つの罪の違いがオレにはよくわからない。ストリッパーは前者でモロだし男は後者という分類でいいのだろうか)なぜ子どもに許されることが大人には許されないのだろうか。タバコや酒のように、子どもの時は許されないが大人になれば許されるというのが普通である。
20歳の美女が同様に全裸で目の前を走り回っても誰もいやだとは思わないし、どちらかというとオレは嬉しくてたまらないのだが、それもまた逮捕されてしまうのである。そんな無粋な警察官は全くもって許せないのである。せめて逮捕するのは2時間くらい後にして欲しいのである。無理にこの逮捕に理由をつけるならば、美女の場合はあまりに扇情的で見た人の精神が恐慌をきたすから罪であり、オッサンの場合はあまりに醜くて見た人が気分が悪くなるから罪なのだろうか。
その、あまりにも醜い肉体を所有するオッサンであるオレは、一人密やかにホテルで全裸になる。幕張プリンスホテルの夜は更けて、オレの全裸ナイトはいつも、朝になって部屋を出る直前まで続く。
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