2004年07月19日(月) |
座布団フリスビーの謎を解明せよ! |
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7月18日に千秋楽を迎えた大相撲名古屋場所は、横綱朝青龍の優勝で幕を閉じた。もしも朝青龍がモンゴルから来日してくれなかったら、相撲という忘れられた伝統芸能は若貴兄弟引退とともに滅んでいたかも知れない。破天荒な振る舞いでよく批判される朝青龍だが、こと強さという点に於いては申し分ない。チラリと見せるあのふてぶてしい表情もまた魅力である。憎たらしいほど強いヤツというのが彼のキャラなのである。観戦に来ていた奥さんもテレビに映っていたがなかなかかわいい奥さんだったのである。それを見てますますもって許せなく感じた男も多いはずである。しかし赤ん坊は朝青龍によく似ていたのである。それで少し許してやりたい気分になっただろう。
だいたいケツを丸出しにして肉体をぶつけあう世界に礼儀もへったくれもないのである。とにかく強いことだけが絶対的な価値なのである。人物や性格が申し分ないから弱くても横綱にしてくれるなんてことは絶対にありえないのである。
この名古屋場所では同じくモンゴル出身の朝赤龍や白鵬、グルジア出身の黒海らが土俵を盛り上げ、十両ではブルガリア出身の琴欧州が歴代1位タイの速さで初優勝。三段目はモンゴル出身の鶴竜、序ノ口もエストニア出身の把瑠都(ばると)が制しており、外国出身力士の活躍がとにかく目立ったのである。
琴欧州は身長203センチと現役力士の中で最長身。2002年九州場所の初土俵以来、所要11場所での十両優勝は小錦と並ぶ歴代1位記録。来場所での新入幕も確実で、朝青龍ら5人が持つ12場所を抜く歴代1位のスピード出世となる。端正な顔立ちで、「角界のベッカム」の異名をとるそうである。
現在、全力士744人中、外国出身は11カ国61人で8%の割合となっている。全部で54ある相撲部屋のうち47部屋に外国人力士が所属しており、幕内では42人中8人、約2割を占めるのだ。9月の秋場所では、琴欧州に加えてロシア出身の露鵬(ろほう)も幕内に入るのは間違いない。
さて、そんな外人に関する話題が尽きない大相撲なんだが、オレにとって唯一理解できないのはあの座布団を投げるという行為である。あれは喜びの表現なのかそれとも観客の怒りなのかいったいどっちなんだ。朝青龍が敗れた時に土俵めがけて大量の座布団が飛来した。回転しながらフリスビーのように飛んでいく座布団を見ていると、なんだかオレも座布団投げにチャレンジしたくなったのである。そんなことができる場所は修学旅行で泊まる旅館の大広間くらいで普通の家にはそんな場所はない。もしかしたらあれは野球場の風船とばしみたいなもので、相撲を見に来る人のささやかな楽しみなのかも知れない。ただそれをしてもいいのは横綱が負けたときくらいなので、みんなここぞとばかりに投げるのだ。そんなときこそ景気よく投げるのがお約束なのである。
しかし、オレの目はしっかりととらえていたのである。画面の片隅で後頭部に座布団の直撃を受けてのけぞるオッサンのことを。アレはもしかしたら前の方にいる人を狙って投げていたかも知れないのである。きっとそうなのである。そんな幼稚なイタズラを大の大人がやれるのは大相撲の座布団投げくらいなのである。だからこそもっと相撲の面白さを見直すべきなのだ。
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