2004年05月20日(木) |
オレたちは虫けらじゃない! |
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コロンビアの山中ではコカインの原料となるコカの栽培が盛んである。この地で古くから栽培されてきた伝統作物だからだ。しかし、その最大の買い手はアメリカである。大量の麻薬中毒者にとってここから供給されるコカインは必需品であり、痩せた土地では他の商品作物に切り替えることは困難だった。
麻薬対策に頭を痛めたアメリカがとった最終的な手段は、除草剤を空中散布してコカ畑を壊滅させることだった。除草剤の霧はアマゾンの源流にあたる森や谷を侵し、多くの生き物を殺した。2000年には4万3000ヘクタールだった除草剤散布面積は2002年には13万ヘクタールとなった。しかし、実際にはコカイン畑だけを狙って散布するのではなく、住民の頭上に除草剤がまかれ、深刻な健康被害をもたらしてきたのだ。
生きた人間の上に毒をまく、このような残虐なことが許されていいのか。アメリカ国民をコカイン汚染から守るという大義名分の元に、コロンビアの山中では人間が虫けら扱いされる。考えたらコカインを買う麻薬中毒のアメリカ人のために、わざわざ栽培してあげているのである。いらなければ買わなかったらそれで済むことである。麻薬の蔓延を防げないのは、作っている側のコロンビアの責任ではなくてアメリカの社会問題である。そんな常識がなぜ通用しないのか。
なぜアメリカ社会の退廃という病理を放置したままで「コカ畑をなくせば中毒者を立ち直らせることができる」と勘違いしてるのだろう。社会が変わらない限り、仮にコカインを撲滅したとしても他の麻薬がはびこるだけのこと。アメリカ大統領という世界一の馬鹿にはそんな単純な理屈がわからないのである。いや、もしかしたら全米で莫大な費用をかけて麻薬撲滅教育を行うよりも、コロンビアで森も住民もコカ畑も一緒くたにして除草剤を空中散布した方がはるかに安上がりだと計算しているのかも知れない。住民が死んだところで、その命の値段はアメリカ人と比べればタダみたいなものだろうから。
先住民族の代表は語っている。「我々はコカ葉畑の95%を他の作物に変えたのに、いまだに我々の頭上に除草剤がまかれている。約束だった種や肥料もほとんど届かない」そんな約束、アメリカが果たすわけがないだろう。住民の頭の上から除草剤をまくとき、そこに住むのが人間だなんてこれっぽっちも思っちゃいない。広島長崎に原爆を落とした時だってそうだったように。この残虐行為に比べりゃイラク人虐待なんて全くかわいいもんだぜ。ただ裸にしておちょくるだけじゃないか。
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