2004年04月01日(木) |
しばらくキスは禁止だ |
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オレはものすごく腹が減っていたのである。職場から家まではクルマで約50分かかるのだが、あまりの空腹にオレは寄り道してタコヤキを喰うことにしたのである。悲劇はそのときに起きた。タコヤキを前歯が切断したとき、中のトローリとした熱いマグマのような部分がオレの下唇に垂れたのだ。そこであわててコップの水で冷やせば大事には至らなかったの知れないが、オレは油断していた。時間にすればわずか2、3秒だったのかも知れないが、その遅れが命取りだったのである。オレはおもむろに舌で唇のまわりをペロリと舐めながらその火傷の手当をしようと思った。舌先が触れた瞬間、下唇には激痛が走ったのである。
「やっちゃった!」
あわててコップの水で冷やしたがもう遅かった。オレの下唇には白い水ぶくれのような火傷ができてしまったのである。タコヤキを食い終えて、クルマに戻ったオレは傷ついた部分を舌で舐めながら、やっぱり冷やすべきだろうかと悩んだ。少し走ると目の前にローソンがあった。とりあえずそこでアイスクリームでも買って冷やすことを思いついた。何が一番だろうかと思って物色していると、ガリガリくんというアイスが目に付いた。これなら冷やすのにちょうどいい。オレは買ったガリガリくんをさっそく下唇の火傷に押し当てた。
ひんやりして気持ちがいい。ラジオをききながらしばらくそのまま冷やした。まわりの皮膚が凍傷になるかも知れないくらい長時間オレは冷やし続けた。ようやく痛みも和らいできたのでガリガリくんを食べ、クルマを発進させた。ラジオは阪神から近鉄に移籍した川尻の好投を伝えていたが、そんなことは今はどうでもよかった。オレの下唇の痛みは再び増してきたのである。帰ってからすぐにオレは鏡を見た。無惨な白い水ぶくれができている。手遅れとは知りつつもオレはそこに冷蔵庫の氷を押し当てた。アイスで冷やして痛みが和らいだように思えたのは、冷たさで感覚がマヒしていただけだったのだ。
今もオレの下唇はヒリヒリと痛んでいる。そこに舌で触れると激痛が走る。とても誰かと唇を接触させられるような状態ではないのである。しばらくキスは禁止なのである。なんと悲しいことだろうか。これもすべてあのタコヤキが悪いのである。なんとしてもリベンジしないといけないのである。明日もまた喰うのだ。明日はこんな失敗をしないように見事に喰いたいのだ。オレはつくづく懲りない人間である。
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