2004年03月25日(木) |
死人に口なし、私は被害者よ |
携帯用URL
| |
|
交通事故の時に、事故の当事者のどちらかが死んでいる場合、生き残った方が自分に都合良い作り話のウソ供述をするのはよくある話である。「相手が信号を無視して突っ込んできたんですよ!」「相手がいきなりセンターラインをこえて真正面にぶつかってきたんですよ!」等々である。また、警察もきちっと捜査しないでその一方的な供述通りに調書を作って事故を処理する場合が多い。現場検証をして事故の全貌を明らかにすることが必要なのに、ついつい手抜きをしてしまうのである。善良なドライバーが無法なドライバーの運転で殺された上に事故の責任まで押しつけられられてしまうのだ。
そのような悲劇を逃れるためにはどうすればいいのか。とにかく頑丈なクルマ(パジェロとか)を運転して生き残るしかないのである。バイクに二人乗りしていて事故に遭った場合は、運転していた方が加害者、後部座席にいた方が被害者になる。この場合も一方が死亡すれば生き残った側は必ず「あいつが運転していた」と言うのである。相方が生きてるか死んでるかは。警察が供述調書を作るまでは絶対に教えてはならないのである。人間とは自分に都合良くウソをつくからである。もちろん事故の状況やケガの部位を正しく検証すれば、どちらが運転していたかはすぐに明らかになるはずだ。現場検証に当たった警官がボンクラでなければなんだが。
中学校時代から友人だった少女2人が1997年4月26日午後11時頃、知人から借りたスクーターで久留米市の市道を運転中に左側カーブを曲がりきれずへいに衝突し転倒。一人は5日後に死亡し、もう一人の少女も右足骨折の重傷を負った。生き残った少女が「自分は後部座席にいた」と警察官に話したことなどから、県警は同年11月、死亡した少女を業務上過失傷害容疑で書類送検し、地検久留米支部が翌月、容疑者死亡で不起訴とした。
ところが死んだ少女の親が、「運転していたのは生き残った方の女」と主張して損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、石塚章夫裁判長は傷のつき方やくつ裏のすれ具合を理由に「運転していたのは生きてる方の女」であるとして地裁の判決を取り消し、請求通り1000万円の賠償を命じる逆転判決を言い渡した。死んだ少女の両親が、入院していた女をお見舞いに行ったときに、事故状況の時の話が二転三転して怪しかったので「こいつはウソをついてる」と思って訴訟に踏み切ったらしい。
死人に口なしということでウソをついたのか、あるいは本当に運転していなかったのか、真実は神のみぞ知るのである。ちゃんと現場検証していればこんなことで争わなくてすんだのである。まあ、原付スクーターの二人乗りなんてケツに乗ってる方にも過失はあるぜ。それを業務上過失致死にされちまうんだから卑怯なウソをつきたくなった気持ちもわからないでもないが、運転がヘタクソだったのが一番の原因だぜ。
前の日記 後の日記