2004年03月15日(月) |
J1アルビレックス新潟の奇跡 |
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サッカーJ1リーグ第1ステージ第1節。悲願だったJ1昇格を果たしたアルビレックス新潟はFC東京に0−1で惜敗した。前半に12本ものシュートを浴びるも、何とか1失点で切り抜けた。アウエーでの試合だったにも関わらず約1万5000人のアルビレックスのサポーターが集結。その大声援を受けて果敢に戦ったが1点が遠かった。次戦は3月20日、ホームにヴィッセル神戸を迎えることとなる。話題のチーム同士の対戦だけに楽しみである。
昨季J2優勝に輝いたアルビレックス新潟はホームでの観客動員数66万7000人、一試合平均3万を超える観衆がビッグスワン(新潟スタジアム)をチームカラーのオレンジに染めた。1999年当時、チームがJ2に昇格した頃、観衆は晴れた日でやっと3000人だったチームが今日の姿になれることを誰が予想できただろうか。
新潟市内にある愛宕神社18代目の宮司で、生徒1万8000人を抱える学校法人グループの経営者でもあった池田弘さんは、乞われてアルビレックス新潟の社長に就任してから積極的な方針を次々と打ち出す。2001年5月、ワールドカップのために完成したビッグスワンのJリーグ初戦となる京都パープルサンガ戦では無料招待券を大量に配る。巨大スタジアムを一目見ようとなんと3万2000人の市民が押し寄せたのである。以後も招待券配布を続け、他の人気チームからはタダ券のばらまきを笑われたがファンは確実に増えていった。また、夏休み中は往復はがきで申し込んだ県内の小中学生をすべて無料にした。サポーターの卵もこうして大切にしたのである。
2001年には全体の8割が招待客だったが、2003年末には2割弱に減った。試合の興奮を味わった観客は、どんどん自分でチケットを購入してスタジアムにやってくるようになったからだ。町内会を活用し、サポーターへのサービスも徹底した。後援会の会報には六千人近い会員の名前を掲載した。まさに地域密着のモデルとして、スポーツで地域の活性化を実現させたのである。観客動員に悩むプロ野球チームはこれを大いにお手本とするべきだろう。
ただ、アルビレックス新潟の戦いはこれからである。せっかくJ1昇格したのに万年下位の弱小チームならファンは離れていくかも知れない。カネにものを言わせて有力選手をかき集めるチームとどう戦っていくのかも気になる。約25億円も掛かる年間のチーム運営費に対して、入場料収入でまかなえるのはわずか8億円程度しかない。奇跡を一瞬の夢で終わらせないために、アルビレックス新潟の戦いはこれからも続く。
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