2004年03月04日(木) |
卒業記念にリカちゃん人形なのだ |
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オレがまだ小学生だった頃、同じクラスの女の子たちはみんなリカちゃん人形を持っていた。さすがにオレは持っていなかったが、オレの妹はちゃんと持っていた。いろんな服が売られていて、着せ替えてコスプレを楽しむことができたのである。
リカちゃんは11歳のハーフで双子の妹が居て、お父さんは名前をピエールというフランス人指揮者。ママの織江はデザイナーだった。今考えると相当無理のある設定である。リカちゃんの家をかなりブルジョワにしたかったということだけはよくわかる。しかし、この遊びには厳然たる階級が存在したのである。リカちゃん一体しか買えない子、彼氏とデートさせている子。ついでに友達のいずみちゃんまで持っている子。人気のないリカちゃんのお父さんまで持っている子。そして大きなリカちゃんハウスを買える子までいた。そこには残酷なまでに貧富の差というものがあったのだ。
かつて遊んだ日々を30代40代の人がなつかしく思い出すそのリカちゃん人形を、なんと卒業記念品に配った学校があるのだ。三重県津市の私立女子校「セントヨゼフ女子学園高校」で3月2日に行われた卒業式では、同校の制服姿のリカちゃん人形が150人の卒業生に配られた。身長約10センチの人形は、深緑色のブレザーにチェックのスカート姿。髪は黒色で、スカートの丈や靴下の色も校則に違反しないように配慮されている。
これは学園側が名鉄百貨店やタカラと共同企画して作ったもので、制服姿のリカちゃんは過去に10校売り出されているが、卒業記念品として作ったのは初めてだという。名鉄百貨店では3000個を一般向けに販売する。卒業生以外にも女子校制服マニアのオタク野郎たちが殺到してすぐに売り切れることが予想される。これまでの卒業記念品は印鑑などを配っていた同校だが、卒業生の提案で、教諭らが可愛い記念品をと企画したという。卒業生たちは驚いた様子で歓声を上げた。
「厳格な高校なので、こんなに楽しいものをくれるとは思わなかった」
そんなふうに心に残る卒業記念品など、オレは一度ももらった覚えはない。ワシントン条約違反の象牙の実印を使うようになってからは、高校の卒業時にもらった安物の印鑑はどこかに行ってしまった。大学の卒業記念にもらった老松の紅白まんじゅうは両親に勝手に喰われてしまい味わうことさえできなかったのだ。オレは今でも母親に向かって悪態をつく。
「オレのまんじゅうを返せ!」
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