2004年03月01日(月) |
甲子園の試合をタダで見られる?マンション |
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甲子園球場の南西に、甲子園競輪場という施設があった。経営不振のために2002年3月末で事業が廃止され、跡地は長谷工コーポレーションに売却された。競輪場の周辺は「第2種高度地区」で高さ制限は15メートルまでだった。西宮市はこの跡地について戸建て住宅と中低層の共同住宅を中心とする中低層住宅地と位置づけ、2003年2月、長谷工コーポレーションに対し「建物の高さ及び長さなどに関し、地域の住環境に配慮した計画となるよう努めてください」と文書で求めている。しかし、金儲けのためなら軽井沢の森を切り開いてリゾートマンションを建てようとする企業がそんな指導に耳を貸すわけがない。さっそく14階建て(高さ43メートル)の高層マンションを建て始めたのである。
周辺住民は建設差し止めを求める仮処分を神戸地裁尼崎支部に申し立てた。住民側は日照権や眺望権が侵害される。浜風もさえぎられると訴えている。本来なら西宮市は競輪場が廃止されたらすぐに高度地区の指定見直しをするべきだったのだが、市の都市政策部の猿渡彬順部長は「見直しは5〜10年に1回で、前回は01年3月だった。競輪場廃止が決まったのはその後で、土地所有者が変わったからといって急には見直せない。適正な手続きを踏まえており(マンション)建設に問題はない」と話している。つまり、見直すつもりだったがそれは4年先であり、その前に建てればOKという意味である。5年に一度しか仕事をしなくて済むというのがお役所仕事なのである。
この建設予定のマンションの最大の売りは、周辺に高さ制限があるため今後も絶対に眺望がさえぎられないということである。最上階からはたぶん望遠鏡で甲子園の試合も見えるだろう。そんなすばらしい場所をゲットする長谷工のセコさ、いや営業力には脱帽するしかない。さて、この位置に高層マンションが壁のようにそびえ立ったらどんなことになるか。オレは地図を見ながら考えた。そしてあることに気が付いた。甲子園名物のライトスタンドからレフトスタンドに吹くあの浜風が、しっかりとこのマンションでさえぎられてしまうのである。右打者にとって有利に働いたあの浜風がなくなるということは、阪神タイガースの野球が根本的に変わるということである。さて、吉と出るか凶と出るのか。
でも長谷工のマンションなんて阪神間では全く人気がないのである。阪神大震災の時に被害が大きかったからだ。長谷工の神戸営業所も全壊していたくらいである。その後耐震工法の研究はどこまで進んでいるのだろうか。
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