2004年01月14日(水) |
福男になりたかった男 |
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西宮神社の福男になるため、大阪市消防局中央消防署の平慶彦消防士(22)と同僚らが参加者の走路を妨害したとされる問題で、同市消防局は13日、平消防士を含め参加した消防士12人から事情聴取。同僚らは「福男にしてやりたかった」と述べ、スタート時に最前列にいた4、5人の同僚が両手を広げて他の参加者を前に行かせないよう妨害したことを認めたという。
福男になるためにはどんなせこい手を使ってもいいのか? 揃いの同じジャージを来た連中が手を横に広げて他の人のスタートダッシュを妨害している映像を何度も観ながらオレは思った。わずか200mほどの競争である。スタートダッシュの遅れはそれだけで致命的な敗因となる。それだけにこの集団戦法は見事に効を奏したのである。
これはスポーツでもなんでもなく、ただの神事なのだから目くじらをたてなくてもという彼らを擁護する主張があった一方で、その卑怯さに対して多くの人から抗議の電話が殺到し、ついには一番福を手に入れた平消防士が辞退するという形で事態は決着した。しかし、福男になるということにそこまでこだわる意味が果たしてあるのか。昨年一番福を手に入れた人はこの一年の間に宝くじが当たるとか女にモテまくるとかいう実際の御利益があったのかぜひとも知りたいところである。
オレは縁起を担ぐのは好きではない。運不運は誰にでもあるし、結果とは努力によってつかむものだと思っている。そして、神様というのはちゃんとせこいマネをしたヤツにはそれなりの報いを与えるのである。
同僚の行き過ぎた親切心が仇になったのか、それともはじめから示し合わせた作戦だったのかわからない。ただ、日本一の福男から、日本一卑怯な男への落差はあまりにも大きく、正々堂々と勝負してもおそらく勝てただろうあの見事な走りっぷりを思えばなんだかかわいそうにも思えるのである。
神事を盛り上げるためにはもっと速い男がぜひとも参加して欲しい。ここは末続慎吾選手にポールポジションを与えて、その御利益をアテネオリンピックのメダル獲得のために使って欲しかったのである。阪神タイガースの赤星憲広選手もこの伝統ある儀式を盛り上げるためにぜひエントリーして欲しかったのである。日本を代表するスプリンターや盗塁王に勝ててこそ真の福男なのである。それなら大いに価値があるのである。来年はぜひそういうスタイルでやって欲しいのである。もちろんテレビで実況中継して欲しいのである。
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