2003年12月15日(月) |
フセイン拘束〜イラクはどうなるのか? |
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爆撃で死んだかと思われていたサダム・フセイン元大統領が民家の地下に潜んでいたところを米軍に拘束された。影武者じゃなくて本物だということはDNA鑑定の結果間違いないとのことだが、この事実はどのような結果をもたらすのだろうか。日本が敗戦後一方的に東京裁判を受け入れさせられたように、フセインは法廷で裁かれることとなるわけである。
イラン・イラク戦争の際にイランに協力的だったという理由で、彼はクルド人の村にサリンやマスタードガスを散布して数千人を虐殺しているという。こうした行為が彼の主とした罪状となるのだろう。自爆テロや米軍に対する攻撃、日本人外交官の殺害、これらの行為を彼が指示していたとしたら今後テロは止むだろうし、無関係ならテロは引き続き起こる。それは彼の自白を待つまでもない。
自衛隊派遣に関して日本国内では派遣反対の意見が相変わらず多数派だが、今回のフセイン拘束によって「まだ交戦中である」から「もう戦後である」という状況になれば、派遣を支持する人も増えるだろう。「戦後」のイラクに、復興のために派遣されることならオレは支持するしかない。少なくとも破壊され尽くした国は自力で復興できないからだ。
さて、オレは今後行われるだろうフセインに対する裁判の行方が気になるのである。東欧で社会主義独裁政権が次々と崩壊したとき、ルーマニアの独裁者だったチャウシェスクは市民の報復によって殺された。そんな簡単に死なせてしまってよかったのだろうかとオレは残念に思うのである。長期間にわたって市民に多くの苦しみを与えた人間には、どのような罰がふさわしかったのか、オレにもこれといった答えがあるわけではないのだが。
東京裁判で裁かれたのは日本軍の行為であり日本の政治家の罪である。原爆投下や東京大空襲という戦争犯罪に関して何も触れられなかったのは、それが戦勝国によるただの私刑(リンチ)であったからである。今回行われるであろうフセインに対する裁判も、アメリカやイギリスといった戦勝国による私刑のひとつにすぎない。
フセインがクルド人に毒ガス攻撃を行ったことと、ブッシュ大統領がイラクの国土に大量の劣化ウラン弾を打ち込ませたことは、少なくともオレの価値観の中では同様の罪である。フセインは一族が貯め込んだすべての財産を吐き出してその罪を償う必要があるし、ブッシュ大統領は今後イラク人民に発生するであろう健康被害を、イラクの石油を売ったカネではなくてアメリカの富によって賠償する責務があるはずだ。巻き添えになって失われた多くの生命に関して、アメリカがまだ公式に賠償したとは聞かない。それどころかアメリカではテロ撲滅のための小型核兵器の研究が進んでいるという。
アメリカそしてブッシュというのは他人の痛みに対して鈍感な国家であり指導者であるとオレはつくづく思う。少なくとも日本人はそんな情けない姿を見習って欲しくはない。今回の戦争でオレはそのことを強く感じている。
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