2003年12月08日(月) |
水をじゃんじゃん使ってください |
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少子高齢化によって日本の人口は減少していく。企業が海外生産にシフトすることで工業用水も不要になる。農業用水の需要が増加することなど考えられない。30年以上も前に計画された利水事業がすべて時代に合わなくなってることは明らかである。田中康夫長野県知事の脱ダム宣言を待つまでもなく、すでにダムを建設するという行為がゼニを使った環境破壊でしかないのは世界の常識なのだ。
ところが知事の中には頭の中身が30年前で停止した人もいる。国松善次滋賀県知事や太田房江大阪府知事である。大阪府など借金で破産しそう(すでにしているという説もある)なのに700億かけた安威川ダム計画をあきらめていない。淀川の下流では2002年度の最も需要の多かった日でさえも水利権(取水権)の3割が使われずに余ったというのにそれでもダムを造ろうとするのである。首都圏では水需要の減少を理由に群馬県の戸倉ダムは中止の方向である。もはやダムの時代は完全に終わってるのである。
このままではダムが造れず、ゼネコンや官僚に利益をばらまくことができないので最近の国土交通省は必死だ。その焦りからなんとしても水余りの淀川水系に丹生ダム、大戸川ダム、川上ダムの3つのダムを建設強行しようとしているのである。琵琶湖の北に計画されている丹生ダムは貯水量が1億5000万トンと近畿最大級で事業費は1100億円、大戸川ダムは740億円である。
この事業によって地元滋賀県には巨額の補償金が転がり込むというイナカモンドリーム(注)が実現するのである。滋賀県民一人あたり20万円をばらまけるほどの予算である。これはなんとしても中止したくない。国松滋賀県知事も「地元への影響についてなんら考慮されず利水者の都合で進んでいく動きは容認しがたい」と反発している。建設予定地では「あてにしていたゼニがもらえず、これまで通り田舎のまま」という大きな影響が起きるのである。そのゼニで家を建て替えようとしていたおっさんや息子を大学に入れようとしていた方もいる。なければ困るのである。
都会に住むオレにとって、ゼニとは働いて稼ぐものでしかないのだが、山林を持っていたり林業に従事している人にとってはダムで稼ぐもののようである。そのダム建設に費やされる税金は主に都会に住む勤労者からぼったくったものである。都会に住むオレたちは、ダムに合わせて水需要を増やすためにじゃんじゃん使わないといけなのである。朝シャン朝風呂は言うに及ばず、洗車も毎日させられるのである。
そういえば最近節水を呼びかけるCMがないなあ。そんなつまらないことが理由だったのか。政府のやることはあまりにもはっきりしているのである。そんな国に暮らすことが情けなくて涙が出そうである。
(注)イナカモンドリーム……アメリカンドリームをもじった江草の造語。田舎に高速道路や新幹線ができて二束三文の土地が値上がりし、土地を売った金で蔵を建てたりラスベガスや吉原で豪遊できるということ。
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