2003年11月28日(金) |
たった一人のまともな裁判官 |
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オレは馬鹿判決を聞くたびにつくづく裁判官というものに対して絶望する。無期懲役で仮出所中の男が起こした強盗殺人に対して無期懲役の判決をくだす馬鹿とか、強姦殺人を起こした鬼畜に対して少年だからと刑を軽くする馬鹿とかに対してである。そんなオレがひそかにその活躍を期待している素敵な裁判官がいる。それがこの寺西和史さんである。
寺西さんは朝日新聞に投書したり、自衛隊違憲論を説いたりする一方で政治活動ゆえに最高裁から戒告処分を受けたりする反骨精神豊かな裁判官なのである。「愉快な裁判官」(河出書房新社)という著書もある。市民の立場で物事を考え、判例や旧来の価値観にとらわれず、人間として事件に真摯に向き合う態度をオレは高く評価しているのだ。
その寺西氏が札幌地裁で担当した交通事故の損害賠償請求訴訟で「月命日に6万円ずつ30年間支払え」という遺族側の主張を認める判決を下している。この事故は北海道北広島市で2001年夏に起きたのだが、脇見運転で歩道に乗り上げて50mも暴走した50歳のおばはんが小学生を4人なぎ倒して、そのうち一人を死亡させたというむごたらしい事故である。もしもオレの息子がはねられたのならいくらゼニを積まれたって許したくはない。死んでお詫びをしろと言うだろう。遺族の方はそこをわずか7600万円の請求で済ませてくれたのである。なんと心優しい方たちだろうかとオレは思うのである。
11月26日に行われた判決で札幌地裁の寺西和史裁判官は原告の訴えを認め、容認された支払い額約5400万円のうち、逸失利益の部分(約3200万円)については一括での支払いを命じたが、慰謝料の部分(約2200万円)については今後30年間、月命日にあたる毎月18日に6万円ずつ振り込むよう、被告側に求めた。ただオレが気になるのは、この加害者の女性は札幌高裁で言い渡された業務上過失致死傷罪で禁固2年6カ月の実刑判決がすでに確定していることである。となると一括支払い分も毎月の支払い分も、この女性の家族、おそらくは夫や子どもたちが支払うことになるのだろうか。本当に払ってくれるのか?
そういえば幼稚園児をマフラーで絞め殺したお受験殺人のあの山田みつ子も慰謝料分割払いだったが、まだ一度も払ってないそうじゃないか。
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