2003年09月23日(火) |
あなたは決して「鬼母」ではありません |
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出会い系サイトで知り合った男と暮らすために、じゃまになった難病の我が子を山に遺棄して死なせた女・・・に対してワイドショーは相変わらずの狂騒ぶりだ。しかし、本当に彼女は鬼母なんだろうか。
19歳で母となることがわかったとき、彼女はどんな胸中だったのだろうか。安易に中絶するのではなく産み育てることを決心した彼女は、その子が先天的な障害を持って生まれてきたことを知ったとき、せいいっぱい育てようと決心したからこそ何度も児童相談所を訪れ、保健所主催の障害児向けの行事にも参加したのではなかったか。離婚してしまった元夫も、そして彼女が知り合ったという無職男性も、どちらも6歳の翔くんを彼女と一緒に守ってあげられるような男ではなかった。
この世でどれほどの男が彼女を守れるだけの愛情を与える余裕を持っているのか。彼女にとっての不幸は、ただただ出会った男たちが無責任な野郎共であったということに尽きるのだ。
男を見る目がないからそんなひどいのを掴むんだという人もいるだろう。しかしこの世にはたとえばオレのようなまともな男は絶対的に不足している。それを手に入れられるのはごく一部の幸運で魅力的な女性たちだけなのだ。
子供を育てるということは大変なことである。健康に育っていても、金銭的に不自由がなくても、それでも育てるのは大変なことだ。ましてや重い腎臓障害となれば、その苦労は想像を絶するだろう。その子を抱えて、彼女はどこで働いていたのだろうか。翔くんにとって祖母になる彼女の母は、離婚して帰ってきた娘に対してどのように接していたのか。厄介な出戻り娘としか思っていなかったとしたらどうなのか。
唯一の彼女を守ってやれる存在であったはずの母親に庇護者としての愛情が欠けていたからこそ、彼女は出会い系サイトで知り合った男のもとへ家出したのではなかったか。自分の息子を守ってくれるかも知れないという一縷の望みをつないで。しかし、その男が欲しいのは女だけで、6歳の子供はじゃまだった。
「山に捨ててこい」
男はそう言ったのかも知れないのである。もしもあなたが隣人なら翔くんを守ってやれたのか?ワイドショーで無責任に母親を罵る芸人どもを見ながらオレは拳を握りしめ、その上に溢れる涙を止められなかった。
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