2003年08月30日(土) |
悲話、屍姦するカブトムシの話 |
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お盆に帰省したときに野生のカブトムシをもらったのである。持ち帰って、虫かごの中に入れられたカブトムシは翌日も元気に動き回っていた。せっかく野山を自由に飛び回っていたのに、子供に捕獲されるという不運のためにこのような狭い虫かごの中に閉じこめられてしまったことがオレはなんだかかわいそうで、飼育環境を整えてやることにした。
さっそく近所のペットショップに出かけて、大きめの飼育ケース、中に入れる飼育マットになるクヌギチップや腐葉土、丸い穴が二つある木、よじのぼるための朽ち木、一個ずつカップに入ったゼリー状のエサ(これは丸い穴にすっぽりと納まる)、土を湿らせるための霧吹きなどを買いそろえて、それから一匹250円のメスも買った。できるだけ元気そうなのを選んだつもりであった。それから数日、昼間はクヌギチップの中に潜ってるが、夜になると野生のオスは元気にエサを喰っていて、ゼリーはかなり減っていた。メスは潜ってばかりいた。もしかしてもう産卵しているのかとオレは思ったほどである。
さて、三日間旅行出ることになったので、その前夜に生きてるかどうか確認するために掘り返した。すると、メスは動かなくなっていた。少し茶色がかっていた色も黒っぽくなっている。「死んだのか・・・」朝になってから片づけようと思って、とりあえずえさ台の上にそのメスをのせてその夜は寝た。翌日、飼育ケースをのぞくと、なんとオスは死んだメスに後ろからのしかかって押さえつけていたのである。オスの腹部からは交尾器が付きだしてメスのおしりのあたりにくっついていた。そのオスは死んで動かなくなっているメスとせっせと交尾に励んでいたわけである。屍姦であった。オレはかわいそうで涙が出てきた。しかし、その日は旅行に出発する朝である。とりあえずエサを十分に補充して、霧吹きで飼育マットを湿らせて旅立ったのである。
二日後の夕方、帰宅してすぐにケースをのぞいたら、オスは土に潜ってはいたがちゃんと生きていた。あわててオレは新たなメスを求めて近所のペットショップやホームセンターを回ったのだが、もう夏は終わっていたのである。もはやカブトムシなどどこにも売られてなかった。前に買った店では同じ場所に今度は鈴虫が置かれていた。かわいそうなカブトムシを一日でも長生きさせてやろうと、オレは心に誓ったのだった。
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