2003年04月03日(木) |
世界が滅亡する日 |
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小松左京が書いたSF小説に「復活の日」という作品がある。正体不明のウイルスによる感染症が爆発的に世界に広がり、人類が死滅してしまうというストーリーだった。終末もののSFはたくさんあるが、個人的にはこの作品が私のイチ押しである。映画にもなったが確か草刈正男が主演だった。
しかし、どうやらその話はSFではなくなってきたようである。香港で流行しているSARS(重症急性呼吸器症候群・重症肺炎)の感染拡大はどうやら世界的規模になりつつある。しかもこの恐ろしい点は、空気感染するかも知れないということである。エイズは直接血液が混じり合うような接触さえさければ防げることと、最近は延命可能にする薬が次々と開発されたことで人類破滅の病ではなくなったわけだが、SARSは今のところ治療法がない。
香港への観光客は急減しているとのことだが、誰だって遊びに行くのに死の危険があるところには行かないだろう。しかし、こっちが行かなくても向こうからやってくるものがある。オレが気になるのはその危険地域で生産された工業製品である。キヤノンは広東省にレーザープリンターやデジタルカメラの工場がある。ソニーは広東省にDVDプレーヤーなどの部品工場がある。三菱電機は広東省にエアコン部品工場がある。工場と社員寮を消毒し、感染者は出ていないが、「生産は平常通り」という。対策と言ってもせいぜい従業員にマスクを配るくらいしかしていないのだ。どうせならイラク戦争に使われてる程度のガスマスクをしろよ。
いずれ従業員に感染者が増えて大パニックが起きるのは必定だぜ。そして、従業員に多くの感染者が出たときに、そこで作られた工業製品はいったいどうするんだ? まさか安全を守るためにすべて焼却して・・・というわけには行かないだろう。生産された場所を隠して、堂々と店頭に並べて売るのに決まっている。しかし、空気感染するのなら、その製品の中にもウイルスは必ず混入するだろう。世界に輸出される製品と共にウイルスも世界にばらまかれる、ということになってしまうかもと思えば、怖くて中国製の製品は買えなくなってしまう。もっとも、世界に広がるのなら今更怖がっても仕方ないなあ。生き残れるようにせめて悪運の強い人間になりたいものだぜ。
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