2003年01月25日(土) |
漁師なのかタカリなのかどっちだ |
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関西空港の埋め立て工事をしていた時に支払われた莫大な漁業補償金をもらうために、地元に大量のにわか漁民が発生したのは有名な話である。そこに丼勘定で億単位のカネがドバドバ支払われたらしい。そのカネでパチンコ屋や風俗店がずいぶん賑わっていたそうだ。関空会社の背負っている巨額の借金の一部は、そんな情けない原因で発生してるのである。
豊かな海洋資源は乱獲して枯渇させない限りいつまでも多くの恵みを与えてくれるわけだが、将来の子孫たちが受け取る大きな自然の恵みよりも、今自分が受け取るわずかのゼニの方がはるかに価値があるように感じるのは馬鹿大衆の常である。かくして豊かな海は埋め立てられ、コンクリートで固められてしまう。海を守ってきたはずの漁師たちは、今度は土木作業員となって海を壊す側に回る。まことに皮肉なことである。
滋賀県漁業共同組合連合会長の川森芳一の主な仕事は恐喝であった。漁場周辺で工事を行った業者に因縁を付けてカネを支払わせるのである。年間の漁業収入が200万円しかないのに補償費が800万円だったりする。正業の収入の4倍の強請りタカリの収入があるわけだ。これでは漁民ではなくてただの街のチンピラだ。そんな人間が滋賀県漁業協同組合の会長なのである。琵琶湖で魚が捕れなくなった原因は、ブラックバスやブルーギルが増えて在来魚を食べてしまったからだと従来言われてきた。しかし、どうやらそれは考え違いだったようだ。おそらくこの川森のような連中が、漁に出ないでせっせと恐喝に精を出していて、本業をおろそかにしてきたからだろう。
今の日本でもっとも忘れられているのは「自分の仕事をきっちりやる」ということの価値である。どの職業もプロ意識の欠如が甚だしい。魚を捕らずに恐喝にいそしむ漁民は言うに及ばず、米を作らず減反のカネを受け取る農民。覚醒剤を打ってバスを運転する馬鹿運転手。育児をせずに保険金を掛けて我が子を殺す母親。預かった子供を虐待して死なせる保母。治安を守るのではなくて率先して盗みをする警官。FA移籍して年俸2億ももらいながら一試合も登板しない川崎憲二郎。そうした無責任野郎たちを横行させた原因はやはり「恥」の概念が薄れたせいだろうか。「お天道様に恥ずかしい」というセリフは寅さん映画の終焉と共に死語になっちまったんだろうか。全く嘆かわしいぜ。
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