2003年01月21日(火) |
一寸の虫にも十分な怒り |
携帯用URL
| |
|
世界遺産に登録されているオーストラリアの離島・ロードハウ島で、日本人二人組が貴重なクワガタなど千匹余りを捕まえてこっそり持ち帰ろうとしたところをシドニー税関で発覚するという事件が昨年暮れに起きていた。犯人は奈良県の私立高校生物教諭とペットショップ経営者で、現在シドニーで裁判にかけられているという。罪状は環境・生物保護法違反だそうだ。世界でも刑罰の軽いことで有名な日本の裁判所なら、たかが虫を殺しただけということで罰金5万円くらいの罰しか与えないと思われるが、シドニーの法廷はもっとまっとうな罰を下してくれることだろう。環境・生物保護法違反の最高刑は禁固10年、罰金11万豪州ドル(日本円で770万円)となっている。
この教諭らが大量に捕まえたキンイロクワガタの一種「ランプリマ・インスラリス」は、世界でもこの島にしか棲息していない希少種で、豪当局は70年代以降このクワガタを保全種に指定している。捕獲されたクワガタのうち607匹は生きていたが315匹はすでに死んでいたという。日本では約400種の外国産である生きたクワガタやカブトムシの輸入が認められていて、ペットショップで高値で取引されている。日本の業者に売るためにフィリピンやラオスでは現地住民による乱獲も起きているらしい。この二人組もあわよくば一攫千金のつもりだったのだろう。そんな希少種なら一匹10万円くらいになるかも知れない。うまく千匹生きたまま持ち帰れれば一億円だ。
しかし、生きた成虫の輸入を認めていること自体がそもそも間違いではないのか。飼われている虫は屋外に逃げることもあるだろうし、中にはわざと日本産のクワガタやカブトムシとの混血を作ろうとする飼い主もいるはずだ。地球温暖化の進行を思えば、熱帯の昆虫が日本の森林で棲息不可能とは言えないだろう。日本固有種との雑種が進めば、いつのまにか固有種が駆逐されてしまうということも起きるだろう。長い年月を経て形成された生態系にとって大きな打撃を与える行為を、自分たちの趣味のために平気でやってしまう馬鹿が日本には多すぎる。琵琶湖にブラックバスやブルーギルを放すヤツ、またそれを擁護している馬鹿タレント。ただの趣味のために環境破壊を正当化しようとする馬鹿が、日本の経済力をバックにして世界中で迷惑をばらまいてるんだ。同じ日本人として恥ずかしい限りだぜ。
前の日記 後の日記