2002年12月31日(火) |
君はパッチをはいているか? |
携帯用URL
| |
|
パッチという下着がある。関東ではズボン下というらしい。世間では若者らしくない下着の象徴と思われてるようで、当然のことながらどんなに寒くてもズボンの下にはパッチを穿かないことがオレの美学だった。やせがまんかも知れないが、ズボンを脱いでパッチだけになった時のあの間抜けなスタイルもまたオレには耐えられなかったのだ。しかし、オレの肉体は年齢を重ねるごとに寒さに対する耐性を失い、いつしか冬になるとこたつから抜け出せなくなっていた。これでは仕事もできない。オレは長年の美学を捨て、パッチを買うことを心に決めてダイエーに向かった。最近はユニクロで買い物することが多いのだが、まさかユニクロにパッチは置いてないだろう。その点ダイエーなら確実だ。
ダイエーの売り場にはいろんな種類のパッチがあった。シンプルな木綿のもの(2枚で780円)起毛してある暖かそうなもの(1280円)、ラクダ色の老人臭が漂うもの(1580円)などであった。どれもつくづく恥ずかしい代物ばかりだった。ふと、隣のコーナにあった紳士用のスパッツというものに目がとまる。高い!BVDのものは1800円もする。しかし、その隣に580円のものもあった。これならパッチとほぼ同じ価格である。オレは試しにその安い「紳士用スパッツ 前開きタイプ」というのを購入してみた。色違いで濃紺とグレーのものを買った。せっかくだから志茂田景樹みたいに真っ赤なものが欲しかったが、残念ながらその売り場にはなかった。
帰宅してからさっそく封を切って試着してみる。少し窮屈な感じだが、生地には十分な伸縮性があるようだ。足にピッタリしてなかなか暖かだ。そのまま鏡の前に建つとスピードスケートの清水宏保みたいで我ながらカッコいい。太股の筋肉が盛り上がる様子やきゅっと締まった足首の感じがよくわかる。オレの肉体もまだまだ捨てたものじゃないなあと嬉しくなった。
穿いたままくつろいでいると足元から暖まる感じでストーブのない部屋でも少しも寒くない。このまま外出しても平気だろう。この快適さを一度知ってしまったらもうおしまいだ。オレは長年守り通した「パッチを穿かない」という美学をあっさり放棄することに決めた。大丈夫だ。オレが穿いてるのは紳士用スパッツで、断じてパッチなどではない。パッチを穿くヤツはジジイだ。
前の日記 後の日記