2002年12月18日(水) |
ドーナツは穴がおいしい |
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『ドーナツは穴がおいしい』という気の利いた見出しが毎日新聞(大阪版)の夕刊にあった。ずいぶん昔、社会科で都心部の住民が郊外にどんどん流出する現象を「ドーナツ化現象」と習ったわけだが、そうしてドーナツの穴となった都心部に、今人口が戻ってきているというわけで、この面白い見出しになったのである。
確かに都心部のマンションは増えている。大阪環状線の内側のいたるところに高層マンションが建設中だ。また価格も安い。70平米程度で3LDKというファミリータイプが二千万円台前半で買えてしまうのである。一昔前ならワンルームの価格である。値頃感もあってそうした物件がどんどん売れ、大阪市の人口は急激に増えていて、小学校のクラス数も増えているらしい。人口が増え、子供が増えて街がにぎわいと活気を取り戻すのは実にいいことである。
土地の価格が高騰を続けた頃は、一戸建ての家に住むために通勤時間はどんどん長くなった。しかし、通勤に片道2時間使うのならば往復4時間、一日24時間のうち実に1/6を移動のために費やすのだ。眠ってる時間を引けば、自由になる時間の1/4が通勤時間だ。人生の限られた時間を通勤電車のすし詰めで終えるのはばかばかしい。オレは一度、磯子から八重洲まで友人の通勤につき合って朝のラッシュを体験したことがあるが、とても自分にはこんな生活は我慢できないと思った。どの階段から降りて、車両の中でどのように移動してというテクニックを披露されたが、そうした「通勤の達人」がラッシュ時の電車を埋め尽くしているのだろう。
郊外の中途半端な広さの一戸建て物件に住んで通勤ラッシュを味わうくらいなら、職住近接で快適な都心のマンションがいい……このように考える人は今後も増えるだろう。もっともその結果として郊外の住宅地の値下がりが起きれば、再び人口の流出が起きることも考えられる。
近くもなく、遠くもなく……、職場までクルマで40分程度かけて通勤しているオレは、毎朝好きな音楽を楽しみながら快適に通っている。ラッシュの電車で痴漢冤罪の危険もなく、人混みで財布をすられる恐れもない。不便なのは帰りに寄り道して映画を見ようにも駐車料金が恐ろしく高すぎることと、帰宅するまで酒が全く飲めないことだろうか。野球中継を聴きながら運転するのもまた楽しいものである。
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