2002年11月24日(日) |
まじめなクルマになど乗りたくねえよ |
携帯用URL
| |
|
まじめまじめまじめ、三菱が発売した新型コルトの基本コンセプトは「まじめ」だそうだ。マーチ、ヴィッツ、フィットと各メーカーの人気車種がひしめく激戦区にこのコルトを投入して三菱は勝負を賭けてきたわけである。しかし、人の命を預けているクルマというものをまじめに作るのはそもそも当たり前のことじゃないか。そんなことは今更いうまでもないだろう。それともこれまで三菱のクルマ造りはふまじめだったというのか。いくらリコール隠し問題でユーザーの信頼を失ったからと言って、そこまで卑下することもないだろう。全く不思議なメーカーだよ、いったい何なんだこのコンセプトは。
「まじめ」ということは、一方で面白味のなさを意味する。そういうクルマ造りはトヨタや日産という大手メーカーにまかせておけばいい。大多数のユーザーはそちらを買って満足するだろうから。逆に三菱のようなすきま産業的メーカーは個性的で少し不良っぽいクルマ造りを目指すべき、と言えばそれは偏見に過ぎるだろうか。
かつて三菱には個性的なクルマがたくさんあった。映画『バックトゥーザフューチャー』のデロリアンを思わせたスタリオン、押し出しの強いでかいクルマで自分をアピールしたい馬鹿の要望に応えたディアマンテ、うまく入れずに日本中の立体駐車場で事故続出だったらしい。子供の頃に見たアニメ『マッハGOGOGO』を彷彿とさせたが車体が重すぎて満足に走れずやむなく4WDにしたGTO、重戦車のような走りが魅力的だったなぁ。なぜ屋根が開くのか意味不明のRV車、オープンギヤというのもあった。そういうカルトなクルマに乗りたいという少数のオタクたちの希望に応えたクルマ造りこそが三菱の信条じゃなかったのか。
日本では走る場所のない本格的なクロカン四駆のパジェロもそうだ。オーストラリア人が「どうだ、こんなクルマ日本にはないだろう」と語った雑誌の記事を昔読んだことがある。その後無節操な各メーカが次々とパジェロもどきの街乗りRV車を売り出したっけ。
がんばってまじめに造られた結果、コルトは奇しくも2002年度に日本で一番よく売れたクルマ、フィットと大変よく似たスタイルとなった。そのまじめさを市場はどのように評価するのか、今後の売れ行きが楽しみでもある。
前の日記 後の日記