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| 2005年11月08日(火) ■ |
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| 芸人養成所かっ! |
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閑散期はまだまだ続く。 今日は一日家でゴロゴロ。ビデオを見ていた。今日見ていたのは、『10カラット』という深夜のコント番組。野球ネタをするコンビもあったので、何度も何度も見てしまった。
見ていてふと思った。場面が変わり、芸人たちが一斉に映るとき、彼らは思い思いのポーズをしている。誰一人としてかぶらない。もちろん芸人だから意識的にやっているのかもしれないけど。
ふと思い出したことがある。 中学生のとき、地元の塾に通っていた。いわゆる進学塾で、もう勝ち組であるはずの私立中学生もさらにいい学校へ進むため、がんばっていた。英語も数学も超詰め込み教育。英単語は毎週100個覚えさせられたし、数学も中学2年でもう中学の全課程を終えていた。
ところが、国語の授業はちょっと変わっていた。月に1回の作文があったのだ。作文が好きな私は、他の課題はやらなくとも、作文だけは仕上げて提出していた。それから、何かの拍子に先生の若い頃の話をしてくれたり、(初体験は行きづりの女性だったとか。そんなことまで)とにかくこんなのが、高校受験にどう役立つのか疑問に思うようなことばかりやっていた。もう顔まではっきり覚えていないけど、たぶん暑苦しい顔。熱血漢だった。
そんな先生がある日突然。「机を全部後ろにさげろ」と言った。みな、何が始まるんだろと思いつつ、言われるがままにした。教室の前半分がガランと空いた。生徒はみな、右端の壁の前に並ぶように言われた。先生は向かい壁沿いに立っていった。
「今から、一人づつここまで来てもらう」
なんだそんなことか。みなが安堵にした空気が小さなざわめきになった。ところが、先生は続けていった。
「ただし、前の人と同じ格好をして来てはいけない。前の人が普通に歩いたら、スキップするとか、ポーズをとるとか。とにかく工夫しなさい」
先生の言いたいことを飲み込むのに、若干の時間がかかった。私たちはもじもじしてなかなか一歩が踏み出せない。
「何してんだー。早くやった方が楽だぞ。あとになるとどんどん追いつめられるからな」
そんな先生の声に押されたのか、クラスでもわりと目立つ活発な男の子が歩いてだした。すると、一人二人と向こう岸へ行く。増水した川の向こう岸へわたるかのような勇気がいった。私はかなり最後の方だったと思う。勇気がなかったのもあるが、私が先に行ったら後の人が「パターンが減るやんか」と思うのではないかと怖かったのだ。今思えばしょーもない取り越し苦労だけど。確か、メガネをハズして普通に歩いたはず。恥ずかしくて、逃げるように歩いた。先生が、「こいつ、何がしたいの?」という目でジロジロみていたから怖かった。
先生は、「自我」の話をよくしてくれた。これもたぶんその一環だろう。でも、今、ふと思うと、どっかの芸人養成所でやってそうなカリキュラムだなあ。
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