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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2004年07月18日(日)
西京極 / 『塩狩峠』


『西京極』

 西京極へ行ってきた。球場に着いたら第二試合の途中だった。天気が気まぐれで、晴れたり、雨が降ったり、雷がゴロゴロいってりしていた。私はネット裏紫シートの最上段で立ち見していた。雨足がきつくなってきたとき、若い男の子2人が私の側にきた。茶髪で、海パンのような半ズボンを腰ではいている。「高校野球なんてダサー」と思っていそうなイメージなのに、ピンチに立たされているマウンド上の選手に向かって、「ピッチャー、がんばれ」と声をかけたり、いいプレーが出ると、大袈裟でも嫌味でもない拍手をしていた。なんか意外だなと思った。いやいや、人は見かけで決めちゃいけない。

 第二試合の終盤。リードしていたチームが相手に1点入れられたものの、どうにかピンチをしのいだ。みんなそれなりに喜んでいたのだが、サードの選手の「やった!」という声が距離があるはずの私の耳もとにも届いた。張り切ってベンチに帰ろうとしていたけど、マウンド前で審判に呼び止められて、ストップ。体が前、足でブレーキをかけて、顔だけ後方にる審判の方を向いていたその姿は、コミカルでもあり、ラブリーもあった。彼はプレーの終わったボールを持っていたようで、審判にボールを渡していた。

 声がよく聞こえると言えば、第三試合。本を読んでいた私は、「ピッチャー、宮本っ」という声にはっとして顔を上げた。声の先は、一塁側ダグアウトを陣取る亀岡高校。選手が監督を囲んで円になっている。どうやら、スターティングメンバーの発表があったみたい。試合前の静かなときとはいえ、指導者の声がこんなに明確に聞こえるとは。今朝の京都新聞で、ここの監督は「熱い」と書いてあったのだけど、そうなんだろうなと思った。髪も選手と同じ丸坊主だし。試合は鳥羽相手に7回コールド負け。とはいえ、序盤はむしろ亀岡が押していたという印象。周りにいる観客は、1回表の4番バッターへのスクイズを批判していたけど、チームの状態を誰よりの知っているのは監督だ。

 試合終了後、亀岡ナインはしばらくベンチでうなだれていた。それでも、グラウンドに向かって礼をする選手もいた。こみあげるものがあるのか、きれいに礼が出来ていない。きちんとすることもすばらしいけど、きちんと出来ないことに正直なのもまたいいもんだと思う。


『塩狩峠』

 北海道に行くにあたり、三浦綾子さんの本を読んでいる。『氷点』は一度読んでいるので、次はこの本にした。熱心なキリスト教信者の青年が電車事故から身を投げて、人々を救ったという話。今日、球場で読んでいたのもこれ。私はときたま、高校野球を見ていると凹んでしまうのだけど、今日は、本を読むことによって、そんな感情から気をそらすことが出来たので、助かった。

 読み応えのある話だったが、私は本題の他に気になることたあって、夢中でページをめくった。三堀は救われるのだろうか。ということ。三堀は、主人公がつとめる鉄道会社の部下。同僚の給料袋をくすねた罪で会社を首になるところを主人公に助けられたのだが、その恩も忘れ、何かと主人公に絡む。三堀の奥さんやその父である上司が主人公のことを褒めていたのもおもしろくなかった。別に主人公と比べられていたわけでもないし、本人を批判されていたわけでもない。でも、人が褒められることが、自分が否定されているように思える。この心境が私にはよくわかる。何かわからないモヤモヤを自分で作ってしまうところも似ている。もっとも、私は他人の金を盗んだことはないけど。主人公に悪態をつく悪者。昔の私ならそういう読み方をしていたかもしれない。彼がどう救われていくかを読んだら、自分の救い方もわかる気がした。でも、結局、彼は主人公の死をきっかけに変わった。人が死なないとダメなのか。気持ちが滅入ってしまった。私は誰かが死ぬ前になんとかしたい。