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2001年01月04日(木) ■ |
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追っかけ姉ちゃんの応援回顧録 「夜のグランド、白い息」 |
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数日後、私は案の定、山科グランドにいた。
当時、私もともきちもまだ予備校に行ってなかったので、放課後部活が終わるとフリーだった。季節は確実に冬に向かっているころで、日はとっぷり暮れ、空は星の光が映える深紺色だった。時間帯にしてはそんなに遅くなかったと思うのだが、すごい夜遅くに行ったような印象はぬぐいきれない。
最寄駅である京阪電車「御陵」駅で降りると、すっかり寝静まったような静かな小路をひたすら南下した。行けども行けども辿り着けず、道を照らす電灯もなんだか心細い。もう帰ろうや。何度そう言おうと思ったかわからない。
ようやく到着したグランドは、すごく静かだった。もう練習は終わりにさしかかっていて、不自然なほどまぶしいライトの下で、選手たちは規則正しく並んで走っていた。グランドの門は開いていた。その気になれば入れたかもしれない。あまりの静けさが私たちにそれを許さなかった。
私たちは、隣の家のガレージのブロック塀から顔を出し、息を殺してその光景を見守っていた。
「ひ〜がしやまっ、ファイトッ!」
記憶する限り、彼らはそんなかけ声をともに走っていたように思う。白い息がやけに私に中で鮮やかだった。ふー。私の口からも白い息は出たが、彼らのそれは別物のように思えた。
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