Desert Beyond
ひさ



 九月の未明に思う事はまた

年齢って全ての事に重くのしかかる。
自分が意識しようがしまいが
逃れる事のできない事実。
年齢を意識すればする程守ってしまう。
守り一方では決して前に進めないのに。
僕の進む道もまた荊の道で辺りは刺だらけ。
自分が選んで今に至る訳で
この道を今さら後退する訳にはいかないし
そんな考えが頭をよぎることはない。
今まで沢山の大切なものを犠牲にしてきた。

自分にとっての人生の価値感てなんだろ。
自分が今選んでる道に合わせて
無理矢理価値を定めて主張する嘘はいらない。
正直僕は自分の価値感が見えないままでいる。
いつか幸せを掴むことができたら
これで良かったと思えるんだろうな。
それが幸せだったんだと思うのかな。


秋の気配は既にやってきている。
夕刻、なかなか見事につるべは落とされる。
こうもりが米の匂いのする田圃の上を飛び交い
夏の夕暮れの匂いは影を薄め
このまま冬の寂しさに姿を変えるかのようだ。
もう秋の虫の音が夜に響く。

僕に特技という特技はない。
それでも敢えて言うならば
大切な思い出は、目を瞑ってじっとすると
肌に触れる空気の温度と
季節の匂いが甦ってきて
その時聴いていた音楽が
自然に頭に流れてくるということだ。

大抵どんな想いも音と光と触覚に結び付いている。

2007年09月03日(月)
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