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■ 夏はつとめて
クラスメートの家で男だけで飲み語って、 明け方に帰ってきた。 薄闇の街を自転車でゆっくりと抜けてくる。 途中のお堂で お参りした早起きおじいさんが自転車にまたがった。 お堂の隣の花壇の隅に、白黒の猫が座っていた。 僕が止まって「にゃあ」と言うと、 じっとこちらを見たけど動かなかった。 あまり人がにゃあと言うのは珍しくないみたいだった。
四階のアパート、東向き。 カーテンを開けて椅子に座って東を見た。 高いところにある夏雲の上端だけは朝日に照らされ桃色だった。 山はまだ深緑で、上に建つ幾つかの鉄塔は存在感のない黒色。 そう思っているとすぐ傍の中空を 二羽の燕が鋭く弧を描いて一瞬で視界から消えた。 高く薄い雲はさざ波のように波をうっていて 薄いところと濃いところが遠くの山の向こうまで続いている。 僕のベランダのバスタオルはさざ波を受けて少し揺れた。
2006年07月29日(土)
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