Desert Beyond
ひさ



 独りでの食事

外でひとりで食事するとき手持ち無沙汰になる。「食べる」ということは当然必要不可欠であると同時に、ある種卑しい行為でもあると僕は心の奥底で思ってしまっている、と思う。武士は食わねど…、という言葉の中にもそんな認識も隠されていると思う。イスラム圏の料理がそこまで美味しくない理由は、食へのこだわりは禁欲と相反するからではないのかと思う…。こうした事はさておき、結果として僕は食べている所を見られるのは恥ずかしい。広いスペースで一人で食べていると軽く周りの目を意識してしまう。誰も見ていないのに…。手持ち無沙汰なのが余計そうさせる。ただ純粋に一人ぼっちだからというのがあると思うけど、どうしても雑誌や本を見ながら食べようとしてしまう。僕の場合、そんな時に無理して読もうとしても全く読めていない。そもそも本を横目に食べるというような器用な事ができないのだ。無理にしようとすると、箸はピタリと止まってしまい、食事を前に本だけ読んでいた、というような事になる。あったかいご飯が冷めてしまうのも嫌な
ので、大抵は本は閉じてご飯だけ食べる事になって落ち着く。そんな頃には周りの目なんて大して気にならなくなっているものだ。



2006年07月22日(土)
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