Desert Beyond
ひさ



 悲しみ

どうにもだらしなく過ぎていく時間。

今日は夜に大学のクラスメートの家に行く。
普段がんばっている彼らで
よく課題や授業内容について話をしていた。
キムチ鍋をしようという話になっていて
一緒に買い物に行ったんだけど
やっぱりまだ二十歳なんだなぁ、と思った。
そのうち一人の家でやったんだけど
大学生協マンションとかいって
すごく豪華すぎる場所だったので驚いた。
モニターやら自動ロックやらとにかくすごかったよ。
学校の希望者のみの巡検で
野島断層に行ったみたいで淡路の酒を買ってきてくれた。
一緒に飲んだけどどうも僕には甘かった。
テレビでは笑っていいともの特大号がやっていて
それを見ながら鍋をつついて
可もなく不可もないような話をした。
話は面白くないわけじゃないけれど
どうにも盛り上がりにかける感じで
やりたい放題の忘年会とはあまりにもかけ離れていた。
いいともが終わって時計を見るともう0時だったよ。

テレビを見たらだんだん年の瀬な風に思えてきた。
みんなと別れるとき「よいお年を!」といわれた。
僕は実感は定かじゃないけれど「よいお年を。」と
彼らに向かって言って手を振った。
確かに年末みたいで、道路には走る車も少なく
南海放送の玄関前には門松が飾ってあった。
僕は年末年始をテレビなしで
一人でどうやって過ごすんだろう。
普段はテレビなんていらないって言ってるけれど
今回ばかりはちょっと痛い。
この街に僕の話相手になってくれる人はいない。
リアルタイムで他人が話しているのも見れない訳だ。
きっと大晦日に何もしないでじっとしていたら
それこそはっぴいえんどの「春よ来い」みたいに
ひとりぼっちで除夜を迎えて
そこはかとなく寂しい思いをするんだろうな。

今日友達の家でテレビを見たのがいけないのか
帰りに自転車をこいでいて
おそろしく寂しい気分になった。
ゆっくりだけど確実にそういう感情が僕をおそって
ひとしきり寂しくなったあとに悲しくなった。
そんな気分のままなんとか家まで自転車をこぎつけた。

家のドアを開けて暗い部屋に入って
ドアが閉まったあとで
一応、「ただいま」って言った。


2005年12月28日(水)
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