Desert Beyond
ひさ



 Home Ground

堀込高樹の「Home Ground」を手にしてから
もう4日とちょっとが経った。
ほんっとうに良いナァ、極上のポップス。
スティーリーダンにしてもそうだけど
ひとつひとつの音に意味とか意思があって
歌詞にも想いが沢山つまっていて
さらりと聴くにもじっくり聴くにも良い。

本当に本当に冷え込む。
いくらなんだってこれはないだろう、という冷え込みに
風の子の僕も折れてしまってエアコンをつけた。
あったかくなって顔がぽーっとしてくるのが
あまり好きじゃないんだよなぁ...。

絶対に結婚式なんてやっていない夜の時間に
カランカランとチャペルが鳴った。

ごろごろと台車で誰が荷物を運んでるんだろう
とそう思って耳を傾けると
それはずいぶんと長々と鳴り響く雷だった。

自転車で往くと風が巻き上がって顔にあたり
鼻の頭がとてもつめーたくなる。
信号で止まったときに手をはぁってするのとか
寒そうに肩をすぼめるのとか。
学校に行く途中の川べりのお堂の脇に
前にも話したけどおじいさんおばあさんが
いすに座って話してたりするんだけど
冬にはみんなで用意した薪を
まあるく椅子で囲んだ真ん中の
一斗缶にくべてあったまりながら話している。
横を自転車で通ると、木を燃やした煙と
一瞬焚火の熱が左から伝わってくる。
桜の葉はほぼ落ちてしまって
大きな袋にまとめられて道の脇に置かれていた。

大学の北にある山は
昂揚した紅葉も収束して深く落ち着いた紅欝金色。
平和通りの銀杏の黄葉もほぼ落ちきってしまった。
冬は街を包んで、冬は僕を包んだ。

白く鋭い光が目の端に入ってきた
すぐに海の方からアメリカンスタイルな雷が
空を引き裂く音を轟かせて落ちた。
そんな風に何度か雷が鳴った。
寒いけど玄関のドアを開けると
西の方は汚いねずみ色にくすんでいた。
雨がふりはじめていた。

もうすぐ冬休みだというのに
僕は特に決まった予定など何一つあるわけでなく
冬休みが来る実感も
クリスマスやお正月が来る実感もない。
お正月ここで一人でテレビもなしに迎えるのは辛いな。
はっぴいえんどの「春よ来い」を聴きながら
わざと一人でお正月を迎えたくなる。
でも僕のところにはこたつがない。
こたつに入ったまま眠くなってしまって
ぐう、と寝たままテレビからは
あけましておめでとう、と聴こえてくる
そんな風には過ごせないということ。
日本人としてお正月を一人で迎えるのは
きっと一番寂しいんじゃないかと思う。
僕は経験してないものだからよくわからないけど
前もってなんとなく感覚だけはわかる・・・。
わざと一人の大晦日〜お正月をかみしめるか。


2005年12月16日(金)
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