Desert Beyond
ひさ



 Dust in the wind

僕は日本海の薄明るい海の底にいる。
流れのある海面近くとちがって
下は砂地でやわらかいし流れはほとんどない。
たまに夏の昼間のレースのカーテンみたいに
ふわりと水が揺れるのが頬に感じられるくらいだ。
時折海に陽が射したのは
透明な青で底の砂地が照らされるからわかる。
心のない微笑みも海の揺らぎで消えてしまうけど
心のある涙もまた海の揺らぎは消してくれる。
僕は日本海の薄明るい海の底にいる。

突然電話をくれてありがとう。
結婚したときいてとてもびっくりしました。
驚いてそれからあまりうまく話せなかった。
僕のつたない日記を見て心配してくれてありがとう。
メールを読んでるとき涙がぽろぽろこぼれました。
心から、おめでとう。ありがとう。

僕は今まで沢山のことを犠牲にしてきた。
沢山の人に迷惑をかけてきて、今もかけ続けている。
きっといろんな人の貴重な人生の時間を奪ってきたんだろうな。
そういう意味では僕の言動や心の動きは
人にとって将来的に迷惑になってしまうのではないかと
どうしても思ってしまうのは仕方ないかとも思う。
なんだかものごとがよくわからないのです。
しばらくは海の底のゆるやかな暗さにつからせてください。
僕はきっとそのうち明るいところに出ます。

昨日からおそろしく寒かったけれど
今日は起きたときから寒さを極めていた。
提出がかなり遅れているレポートを
今日こそは出さないといけないと作業して
外からさぁっという音で東の窓から外を見ると
外は一面アラレの世界だった。霰。
霰は吹きつける勢いで、吹き付けられた後に
まとまって風の流れを示す。
とんでもない霰の嵐は幸い、家を出る前に止んだ。

ルールを守る寝坊は
生ごみを出しそびれるのは世の常だ。

自分の部屋へ珈琲をこぼさないように持って向かう先生を
エレベーターホールの脇でつかまえた。
城山で見つけて割ってきた判断できない岩石を見てもらった。
帰りがけに「きみは下宿かい?」ときかれて
そうだと答えると、机の上に乗っていた柿と林檎をくれた。

すべては風の中に...

2005年12月05日(月)
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