Desert Beyond
ひさ



 涙もないその意味は

無気力な一日。
シャワーを浴びて、バイトに行った。
土曜日に教えている子は塾にも行っていて
自分が勉強でストレスを感じて
疲れているということもわかってないようで
見ていてかわいそうになってしまう。
帰りにバイト先近くのスーパーで
ほうれん草と大根を買った。

夜遅くなってきて
突然雷がやってきた。
外に出て見てみると
雷は空にいくつもあって
西の海の方でいかずちを落としていた。

この部屋にはテレビもなければラジオもない。
だから寂しくなっても逃れようがない。
音楽は好きだけどそこに相互の交流はない。
向こうからこっちへの一方通行だから。
雷が鳴っていたけどなんだか切ないので
車でダイエーに向かった。
ラジオをつけると人と人との会話が
少しだけ僕の心を小さい灯りで照らしてくれた。
ダイエーは真っ暗で、
どうやら営業時間を変えたみたいだった。
結局コンビニに寄って帰ってきた。

対馬に住んでいるNYで会った友達が
久しぶりにメールをしてきた。
彼は対馬でカメラ屋をしているみたい。
布団に入ったものの眠れなくて
僕みたいなのにメールをしてきてくれて
そんな時に僕はたまたま人恋しくて
偶然に助けられたような気がした。
もしかしたら彼も北風に吹かれているのかもしれない。
明日は七五三の撮影の仕事が入ってるんだって。
2時間以上少しずつメールをやりとりして
友達はそろそろ寝るといった。

薩摩宝山をお湯で割ってゆっくりと飲んだ。
深い芋の味は口の隅まで淡く広がった。
夜中にまた、雷が帰ってきた。
体はあたたまったけれど
心があたたまることはなかった。

2005年11月26日(土)
初日 最新 目次