Desert Beyond
ひさ



 stone-cold autumn

数日前に嫌な夢をみたというので
父親がわざわざメールしてきた。
他の内容もあまり好ましくないもので
そのメールを読んで励まされるどころか
なんとなく冬日の暗い曇りのような気分になった。

信じられないようなことだけれど
今日その嫌な予言が本当のことになった。
こんなこと父親には言わないつもりだ。
一人で抱えるのがつらいので
自分の心が乱れて整理もつかないまま
親友にメールをしてみた。
わけもわからないままメールしてみた。

最近といえば香っていた金木犀が
雨によって哀しく流されてしまったかと思えば
まだ仄かに香っていて嬉しい気分になったりする。
将来自分で庭を持つことができるなら必ず植える。

学校へ通う道に沿って流れる川には
たまに白鷺が魚を取ろうとしていて
川の堰のところで静かに水面を見ていたり
季節はずれの紋白蝶が自転車のかごに当たりそうになったり
長い袖から入り込んでくる夕闇の寒さと
まだほの明るい西の空の美しさにはっとしたりする。

明日はまたしても親友の結婚式で
僕は朝から名古屋へ飛ぶ。
何もかもぎりぎりです。

情緒が不安定になると何か書かずにはいられなくなる。
こうして日記なはずなのに
独りごとみたいになってなんだか癒される。

最近はi-podで音楽を聴きながら
キコキコ自転車をこいで学校へ行く。
なかなか気分に合ったアルバムがなかったりして
かといってシャッフルにすると
全く聴きたくない曲が流れてきて参ったりする。
カスタマイズすれば朝に合う曲のみシャッフルとか
そういうことができるんだろうな。

学校ではだんだん2回生の子たちと仲良くなってきた。
それはいいことだけど
今日、やることが沢山あって手がまわらないので
火曜日に提出のレポートを見せてくれといわれた。
当たり前だけど断った。
なんで手がまわらないのかって訊くと
自分で食べるご飯を作ったり
他の課題があったり、と言った。

今時は長袖一枚だと暗くなる頃には寒くなる。
どんどん寒くなってきて、でも昼間はあったかくて
陽だまりとか、冷たい風とかが心地良い。
街路樹が紅葉してきて秋だと実感する。

3時間もある授業で野外実習がある。
やってることがやってることなので
もくもくと深い森の山になっていて
山の東の斜面にはロープウェイもついている城山を
ふもとからぐるりと磁石をもって何もない方眼紙から
自分で地図を書いて地質を調べたりする。
かっこいいハンマーを持って岩をコチンと叩いたりする。
夕方の城山の城裏の城壁沿いの小道を歩いていると
ざわざわと木々が風に揺れて
怪しい雰囲気を醸し出す。
幽霊というより妖怪な雰囲気で
夜にはなにやら出そうな感じがする。
夜に遠くから城山を見ると
お城近くに赤い灯りが点々としている。
城近くの通りに赤い提灯でも灯っているのかなと思って
それが何か見に行きたいけれど
とてもじゃないけれどあの木々の登りを抜けて
あの頂上近くまで確かめに行く気にはなれない。

何度も出てくる通学路沿いの小川だけど
その小川沿いに桜並木が植わっている場所がある。
春は桜が一斉に咲いて一斉に散った場所だ。
そこには弁天様か何かのお堂があって
道沿いのお堂裏には屋根がついていて
椅子が円状にならんでいて
昼間はお年寄り達がいつもそこに集っている。
桜並木の落ちた花びらや落ち葉は
そこのおじいさんに箒であつめられて
道はいつも綺麗になっている。
朝は寒くなってきたのでその葉っぱを燃して
手をかざしたり
昼は陽がまぶしいので簾をたらしたりしている。
たまに朝にはお遍路の人がそこに混じっていたりする。

秋のこの季節は寒さの加速に気付くほどに
気持ちも寒く寂しげになってくる。
空気も思い出も透き通る。

唯一の癒しは書くことと
入浴剤を入れた湯船に浸かって
なんだかゆるい音楽を聴いていることだ。
頭の中を真っ白にする練習をする。
練習をしようと思っていると
きっと真っ白にはならない。



2005年10月28日(金)
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