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■ 妖怪綺譚
今年の夏東北へ鈍行列車での旅をした。 旅のテーマには遠野で妖怪に遇うというのがあったのだけれども 釜石で知り合った前日遠野にいた人に話を聞いて あまり面白くないと言うので、遠野は通り過ぎてしまった。
高校の時に柳田翁の遠野物語を国語の時間に読んで そのイメージから遠野にずっと行きたかったのだ 僕は基本的に妖怪の存在に対して否定的ではない 旅に出る前に遠野物語を読んでおきたかったのだが 遠野物語だけの文庫本はどうもみつからなくて 結局読まずに旅に出た。 アメリカに帰ってくるとまったく偶然なのだが 今預かってるアパートに元々住んでる友達が 遠野物語を持っていた。 読み途中だけれど、かなり恐ろしい話だなあ。 妖怪に出会う旅と軽々しく言えないものがある。
僕は幼稚園の頃か小学低学年の頃に おばあちゃんの家で鬼を見た事がある。 勝手口から北に出ると昔のお勝手になっていたあばらやがある。 井戸があって、かまどもある。物置にもなっている場所。 家の北端なのでそのあばらやの北と西は樫の木などの防風林だ。 夜におばあちゃんがそのあばらやに用があって僕もついていった。 ふと西の林の上を見ると林の黒いシルエットの上に 金棒を持った鬼のシルエットが見えた。 僕は幼ながらに「鬼だ....」と思ったのだが おばあちゃんには何も言わなかった。 次の日の朝、同じ所から西の林の上を見ても そこはただの林で、鬼の影が見えた場所は空だった。 幼いのできっと勘違いか何かだろう。 それに鬼が林の上なんて不安定な場所に立つなんて まるで馬鹿げている。 でももしそれが本当に鬼だとしたらそれはそれで面白い。 だから僕は面白い方を採用して、それが鬼だったと言うのだ。
2001年10月20日(土)
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