Desert Beyond
ひさ



 分析と耳かき、そして夢

突然だけど、僕は思慮深い人が好きだ。
たぶん考え過ぎちゃう人の気持ちとかわかるからかも。
僕は思慮深いというよりも考え過ぎる。
ひとつの事でひっかかるととことん黙って考え込んでしまう。
だからたまに僕が不機嫌なのかと勘違いする人もいるくらいだ。

僕は何でもロジカルにする癖がついてしまっているので、
論理的ではない考えを聞き流せなかったりするのだ。
論理的思考は科学を能くする人にとって必要不可欠だけれども
ごく普通の生活をするにあたっては結構足枷になったりする。
しかも僕は心で思った事をより正確に言葉に出すのが得意な方で、
それがいきおい事を悪くしたりしてしまうのだ。
口ゲンカなどは特にもっと感情的になって
訳のわからないこと言ってもいいのに
口ゲンカ中に論理的な反論など始めてしまったりした。
よく考えたら結構いやみな人間だなぁ....。
心の中で思った感情も言葉に出してしまうと色が薄れたりする。
本当に感情が高ぶるからこそ心で思った事を
口に出して言ったりするのに。
だから口に出して言いたいのに言わない、みたいな
自分の中でセーブしてしまう人になりつつあるかも。
これが大人になったという事なのか?
そうだとしたら大人って結構つらい事だ。
でも綺麗な事ぐらいは綺麗だと言い続けたい。

と、こうして今日も深々とまた考え過ぎてしまうのだ....。

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今日は鳥が賑やかな日だ。
二十歳くらいに気づいた事だけれど
逆に鳥が全く鳴かない日もある。
そんな日は耳をよーく澄ましても「チュン」とも云わない。
ただ鳥が近くにいないだけなのか
近くにいてもジッとしていてまるで鳴かないだけなのか。
鳥の鳴かない日は曇りの日に多いと思うのだけれど。

アメリカで耳かきを見る事はない。
アメリカ人はみんな綿棒で耳を掃除しているのだろう。
そうに違いない。
でも小さい頃から耳かきに慣れてしまった日本人には
綿棒で毎回耳を掃除するのはどうにもソフト過ぎる。
しかも日本の綿棒と違ってアメリカのそれは質が悪くて
棒の部分が柔らかく、掃除している時に
フニャフニャになってしまったりするのだ。
プラス、綿の部分はモファっと締まりがなくて
すぐに解れてしまう.....。
う〜む。
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さっき夢の中で渡辺に会った。
渡辺は新聞奨学生をしている時に隣の部屋に住んでいた男だ。その時寮にいた仲間の中では特によく話し、それがエキサイトしてよく喧嘩にまでなった。その頃僕も渡辺も浪人していたが、僕は留学に道を変えた。明くる年になると、渡辺はその年どこの大学にも落ちてしまったが、もう一浪して明治の二文か何かに入った。
その後渡辺とは幾度か飲んだりしたけれどもどちらからともなく音信は途絶えてもう何年にもなる。そんな渡辺と夢の中で会ったのだ。
夢の中で僕はどこかの駅前を歩いていた。カメラを持って。腹が空いたので駅前にあった吉野家を見ると何故か客はみんな外国人で店内と外にあるテイブルは混んでいた。僕はそこでの食事を諦め駅を離れ、ショッピングアーケードを進んで行くと左手にまた吉野家があった。その吉野家の入口の扉といったら古くさい引き戸になっていて、下が曇り硝子で顔の高さが透明な硝子になっている。中を覗くと多きな木製の丸テイブルが一つ。そこは堀火燵になっていた。これじゃあまるで路地裏の居酒屋じゃあないか、と思った。客は全くいなかったのだが、よく見ると一人。その客は飯を食べているのではなくて昼寝をしていた。渡辺だった。ガラカラガラと引き戸を開けて僕は中に入っていった。
久しぶりに会ったのでどうしていたのだなどと話をしていると店のおばさんが「御注文は?」とでも言いたげにじっと僕らを見ていた。視線に負けて渡辺は何か無難な物を頼んだ。何を頼んだらいいのかわからなかったので僕は、お勧めをと言うと。「厚焼き卵サンドウイッチ」と強引に決められてしまって、僕はその「旨いんだから」とおばさんも渡辺も言う厚焼き卵のサンドを注文する事になったのだ。注文が聞こえると、暖簾の向こうではおやじが手際よくそのサンドウイッチをほいほいほいとこしらえ始めた。
結局食べ物がはこばれてくる間に渡辺と写真機の話になった。僕が自分のカメラをテイブルに置くと渡辺も自分のカメラを置いた。彼の写真機はオリュンパスのものだった。
実際渡辺は大学に入ってから写真を始めたと言っていた。僕は実際渡辺のカメラを見た事も、渡辺が撮った写真を見た事もない。
そのさびれた居酒屋風もしくは蕎麦屋風の吉野家で何やかやと話していたのだけれども、僕らが新聞を配っていた毎日がなんとなく終わったように、この夢はサンドウイッチも食べぬまま、なんとなく終わった。

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昨日の晩にコカコーラダイエットレモンなるものを見つけた。
元ルームメイトと思わず買ってしまったけれど
僕はあまりコカコーラを飲まない。
小さい頃は親から禁じられていて、ほとんどコカコーラを
飲む事もなく、それが癖の様になりそのまま大人になったので
あまりコカコーラに思い入れもなく、飲みたくなる事もないのだ。
それでもその珍しいコカコオラダイエットレモンを購入した。
早速飲んでみたのだけれど、あまり美味しくなかった。

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僕はたまにリアルプレイヤーで音楽を聴く。
お気に入りの番組はネットラジオだ。
ジャンル分けされた各番組は、
そのジャンルの音楽をずっと流している。
ネットラジオのいい所は画面にその時流れている音楽のタイトルとアーティスト名が出ている所だ。
そのおかげで良い音楽が流れればそれをノートに書いておくのだ。
今日は久しぶりにネットラジオを聴こうと思って
青いマークのリアルプレイヤーをクリックした。
ネットラジオに合わせると、
「長年ありがとうございました」みたいな事が書いてあり
ネットラジオの配信自体終わってしまったと告げていた。
せっかく気に入っていて、便利なネットラジオ。
すこし寂しい。
新しくネットで聴けて曲名もわかるラジオ番組を探さなきゃ。

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当たり付きの自動販売機で当てるというのは並大抵の事じゃない。
昨今当たり付き自動販売機自体が少なくなってきたが
ジュースを買う時少しドキドキしたりする。
当たりかどうか確かめるまでその場を去れない。
僕がもう一本ジュースを当てたという記憶はほとんどないが
それでも2、3回はあったと記憶している。
その中でも強烈におぼえているのが
中学生の時分。夏祭りの夜の出来事。
僕はあまり自動販売機でジュースを買う子供じゃなかったけれど
その夜はどうにも喉がかわいて近くのゴルフ練習場まで行った。
そこにはジュースの自動販売機があったのだ。
行ってみると自動販売機のジュースのほとんどは売り切れで
飲みたかったスポーツ飲料とか爽やかソオダ系とは裏腹に
ピーチネクターしかなかった。
近くに他の自動販売機がある訳じゃなかったので
僕は仕方なしにピーチネクターを買うと、当たってしまった。
ではもう一本。と、思ってもチョイスはピーチネクターのみ。
だからピーチネクターをもう一本。ゴトン。
そしたらまた当たってしまったのだ!
結局そのときあまり飲みたくなかったピーチネクターを
三本も手にした中学生は夏祭りの夜
ゴルフ場の前で素直に喜べない複雑な心境で立ち尽くした。








2001年10月18日(木)
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