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2019年06月22日(土) ■ |
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未だ謎に包まれたままの状況です |
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映画「万引き家族」(是枝裕和監督)から。 最近、映画館の中ではメモを取らずに作品鑑賞をし、 その後、DVDになってから、何度も巻き戻しを繰り返し、 気になる台詞を書き出す作業をすることが増えた。 そうすることで、不思議なことに、映画館では気付かなかった 面白い会話や演技を発見することになる。 今回は、多くの方が鑑賞し絶賛しているので、 なかなか選ぶのが大変だったけれど、 どうして、日本でこういう家族が生まれたのか、気になった。 物語後半まで、ひっそりと暮らしていたこの家族が、 ある事件をきっかけに、世間に対して存在が知られてしまう。 そして、毎回繰り返されるように、マスコミ各社が押し寄せ、 家の前で、大スクープのように大騒ぎする。 それを象徴するかのように、TVレポーターの女性が、 こんな台詞をカメラに向かって叫んだ。 「家族になりすましていた人たちが、一体何を目的に この家に集まっていたのかは、未だ謎に包まれたままの状況です」 たぶんこの話題は、翌日に違った事件、事故が起きれば、 もう過去のこととして、謎に包まれたまま消え去っていくから、 この事件の背景も、なぜ彼らがこのような行動したのかも、 われわれ国民は、想像の域を超えないまま、次の話題に移っていく。 そうした二次情報に振り回されている、慌ただしい日常生活こそ、 今回のような家族を生み出しているような気がしてならない。 確かに・・二度観ると、この作品の素晴らしさがよりわかってくる。
P.S. (台詞ではないけれど、お見事というべきシーン) ・海ではしゃぐ家族をじっと見守る、樹木希林さんの言葉なき演技。
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