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しもさんの「気になる一言」
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2018年06月03日(日)
ええ、夫は忘れてしまいましたとも。で、それが何か?

書籍「長いお別れ」(中島京子著・文藝春秋刊・263頁)から。
知人の紹介で読み始めた、老いに対する向き合い方を
誰でもなりうる「認知症」を題材に描かれているが、
切ない・やるせない、という感情よりも、
しっかり繋がっている夫婦愛に心打たれた。
特に、少しずつ記憶を失くしていく認知症の夫に、
最後まで寄り添った妻の呟きに、感動してしまった。
「時折、意のままにならないことにいら立って、
人を突き飛ばしたり、
大きな声を出したりすることはあるけれど、
そこにはいつも何らかの理由があるし、
笑顔が消えうせたわけではない。
この人が何かを忘れてしまったからといって、
この人以外の何者かに変わってしまったわけできない。
ええ、夫は忘れてしまいましたとも。で、それが何か?」
何も知らない周りからは「あなたも大変ね」とか
「よく頑張っているわね」と言われたに違いない。
それを気丈に振舞う、妻の力強さみたいなものを感じた。
やはり「夫婦のことは、夫婦にしか分からない」
いや、そこに夫婦だからこその繋がりがあるから、
「夫婦」と呼ぶんだろうなぁ、きっと。