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2017年07月10日(月) ■ |
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「無事、下山」なんて、誰が読む?三面記事だ。 |
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映画「アイガー北壁」 (フィリップ・シュテルツェル監督)から。 ドイツ・オーストリア・スイス合作と知って、 へぇ、ヨーロッパもすごい作品をつくるな、と感激した。 前人未踏のアルプス連峰の難所・アイガー北壁に挑んだ若者が、 途中のアクシデントで、登頂を断念して下山することに・・。 それを知った途端、マスコミは取材をやめ撤退を指示して叫ぶ。 「記事になるのは、栄光か、悲惨な結末だ。 『無事、下山』なんて、誰が読む?三面記事だ」と。 しかし、下山にも登山に匹敵する真のドラマが待っていた。 マスコミ関係者の上司は、登山が始まる前、部下にこう言う。 「(我々が)悲しいのは、真のドラマはみられないってことだ。 記者や読者の宿命だ。我々は、登頂前の騒ぎを報道する。 登頂後も同様だ。しかし、肝心の中身は、想像するしかない」 その真のドラマを「下山」という地味な行程の中で見せつけられ、 その、生死をかけた生きざまに、愕然とさせられることに・・。 悲しい結末に胸が締め付けられて、息苦しくなるほどの緊迫感、 今回ばかりは「無事、下山」という記事が読みたかったなぁ。
P.S. ラストシーン「ベルリンへ戻ろう」と声を掛けられた主人公の女性、 さっきまでの悲しみをすぐ忘れてしまう上司に向かい、ピシャリ。 「もう戻りません、たくさんです、あなたみたいな人たちは」 この台詞で、胸がす〜っとしたことを付け加えておきたい。
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