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2017年03月28日(火) ■ |
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小説家なら形作ったものを削らないと・・ |
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映画「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」 (マイケル・グランデージ監督)から。 作家と編集者がいて、初めて素晴らしい作品が出来上がる。 その両者の関係を理解していないと、 著者だけがスポットライトを浴びて、才能だけが一人歩きし、 自分は天才だと勘違いしてしまい、有頂天になって潰れていく。 作品中、主人公2人の編集作業が印象深い。 「詩的表現に満ちたこの本でこの場面を際立たせるには?」 「単純さだ。簡素な言葉」 「『稲妻』か。暗闇にくっきり稲妻を走らせる・・」 「そうだよ」「ユージンは女を見た。その瞳は青い」 「小説家なら形作ったものを削らないと・・」と意見をぶつけ合う。 その結果が、無駄のない洗練されたフレーズに繋がるのだろう。 原題「Genius」は、辞書によると 「(科学・芸術などでの創造的な)天才、非凡な才能、天才(の人)、 鬼才、特殊な才能、(…の)才、特徴、特質、傾向、精神」とある。 2人の「Genius」が、お互いの力をうまく引き出したとき、 名作が生まれることを、この作品で知った。 最後に作家がこう言う。「一節だけ付け加えたい。本の献辞だよ」 「この本をマックスウェル・エヴァーツ・パーキンズに」 勇気と誠実さに満ちた彼は、ひどく絶望に苦しむ著者を何度も 励ましてくれた。その彼に・・値する作品であることを著者は願う」 今では「あとがき」に編集者への献辞が書かれているが、 この作品が1920年代の実話だとすると、 作者から編者者への一番最初の献辞だったかもしれないなぁ。
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