春が終わる時の
空の色は
青に少し足りない
薄い水色
風に飛ばされた白い綿毛が
土を踏めずにさまよってます
カサリ
「・・・あ、リクさん?」 「気にしないで、続けて。」
ふわりと照れたように微笑んで、 再び美しい旋律を紡ぎ出す。
春の花
誰かに届けたくて
花は小さな綿毛になりました
花は咲きます
あなたの手元で
ただ少しだけ
愛をください
彼女を中心に暖かい風が舞い上がり、 上昇気流となって上へ上へと飛んでいく。
花々は咲き乱れ、鳥は歌うことを忘れ、 この甘く美しい旋律に身を委ね、ただ揺れているだけ。
彼女が船を沈めるのではない。 海が、空が、風が、大気が・・・ この世界を構成するあらゆるものが、この旋律に感服したんだ。
瞼を閉じて、耳を澄ます。 そこには鮮やかな色彩が広がっていて、 全てが七色に輝いている。
「リクさんは、強いのね・・・」 「え?」 「私の歌を聴いても、自分を見失わないもの・・・」
少しずつ、少しずつ息を吹き返しつつあるその羽根を、 優しく優しく撫でる。 閉じていた瞼を開けた。
「違うよ。」
「え・・・?」
「強さとか、弱さとか・・・そんなんじゃないと重う。 守りたいものがある、譲れない信念がある、 捨てることの出来ない想いがある・・・。 そういうことだと、僕は思う。」
だって、君の歌はそれら全てが満ち溢れているから。 僕と君の大切な友達は皆、それを持っているから。 だから だから、君の歌が愛しいと。
「ありがとう・・・」
頬を少し赤く染めて、彼女は微笑んだ。
優しい風にせかされて、 彼女は再び紡ぎ出す。
愛しさで彩られた、遠い遠い、色褪せることのない美しい日々への想いを
風に運ばれて
どこまでも
-----------------------------------the End---------
|