::哀歌-3 2002年06月26日(水)

「体全体で世界を感じる・・・か。」
「なんだそりゃ?」
「さっき修道女の人が言ってたじゃん。草人に。
 そうすれば痛みなんて感じないって・・・。
 すごいなぁって、思ったんだ。」


全てを悟ることなんて、あたしには出来ないだろうし。
“アイツ”は出来るかも知れないけど・・・


この色鮮やかで美しいファ・ディールの世界。
あたしはどれくらいそれを感じて、受けとめられるだろう?


「痛い時は痛い、辛い時は辛いでオレは十分だ。
 守りたいものを守れれば、それでいい。」
「守りたいもの・・・ねぇ・・・。」


大好きな友達、思い出、場所・・・
この世界は広すぎるんだ。
たくさんの“大好き”がそこらじゅうに転がってて、
欲張りすぎたら何も守れないよ。


守りたいもの・・・
瑠璃の守りたいものは・・・って、言うだけムダだ。
だって、ちゃあんと知ってるもの。
瑠璃が、一番大事で守りたいもの。


白い白い清純。


あたしとは、大違いなんだから・・・


「・・・どうした。」
「ん?」
「なんか言ったか、オレ・・・?」
「へ!!?」
「イヤ・・・なんでもない。」


目をパチクリさせて瑠璃を見る。
何だよって、目をそらして呟く。


「あは・・・。」


なに、瑠璃・・・もしかして・・・?


「しんぱい・・・してくれた・・・とか?」
「・・・・・」




何も返っては来なかったけど





「へへー、大丈夫!ありがとね!!」
「・・・別に。」





淋しい気持ちとか不安な心とか一気に吹っ飛んで、
うれしい気持ちで一杯になった。
それだけで、“ありがとう”なんだよ。





「・・・テラスに行くんだろ!?さっさと行くぞ!!」
「はいはーい!」


相変わらず目を合わせてくれないけど。
歩く歩調だって早いし、怒りっぽい。
でも、空気はこんなに優しい。







ずっと、変わらなければいいのに。








でも、その願いはきっと叶わない。















かすかにだったものが、明確に聞こえてくる言葉達。





「石の眠りについてしまった恋人を救う為でしょう?」
「・・・人を傷つけたくない。」





「そんなことで誰かを守れるのかしら?あまいですわね。」



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