「体全体で世界を感じる・・・か。」 「なんだそりゃ?」 「さっき修道女の人が言ってたじゃん。草人に。 そうすれば痛みなんて感じないって・・・。 すごいなぁって、思ったんだ。」
全てを悟ることなんて、あたしには出来ないだろうし。 “アイツ”は出来るかも知れないけど・・・
この色鮮やかで美しいファ・ディールの世界。 あたしはどれくらいそれを感じて、受けとめられるだろう?
「痛い時は痛い、辛い時は辛いでオレは十分だ。 守りたいものを守れれば、それでいい。」 「守りたいもの・・・ねぇ・・・。」
大好きな友達、思い出、場所・・・ この世界は広すぎるんだ。 たくさんの“大好き”がそこらじゅうに転がってて、 欲張りすぎたら何も守れないよ。
守りたいもの・・・ 瑠璃の守りたいものは・・・って、言うだけムダだ。 だって、ちゃあんと知ってるもの。 瑠璃が、一番大事で守りたいもの。
白い白い清純。
あたしとは、大違いなんだから・・・
「・・・どうした。」 「ん?」 「なんか言ったか、オレ・・・?」 「へ!!?」 「イヤ・・・なんでもない。」
目をパチクリさせて瑠璃を見る。 何だよって、目をそらして呟く。
「あは・・・。」
なに、瑠璃・・・もしかして・・・?
「しんぱい・・・してくれた・・・とか?」 「・・・・・」
何も返っては来なかったけど
「へへー、大丈夫!ありがとね!!」 「・・・別に。」
淋しい気持ちとか不安な心とか一気に吹っ飛んで、 うれしい気持ちで一杯になった。 それだけで、“ありがとう”なんだよ。
「・・・テラスに行くんだろ!?さっさと行くぞ!!」 「はいはーい!」
相変わらず目を合わせてくれないけど。 歩く歩調だって早いし、怒りっぽい。 でも、空気はこんなに優しい。
ずっと、変わらなければいいのに。
でも、その願いはきっと叶わない。
かすかにだったものが、明確に聞こえてくる言葉達。
「石の眠りについてしまった恋人を救う為でしょう?」 「・・・人を傷つけたくない。」
「そんなことで誰かを守れるのかしら?あまいですわね。」
|