2002年03月25日(月)
走り書き。 手紙飛ばし 1(?)
走り書きれっつらごー。
『アナタの前の私は、私の全てではない。 当たり前のようなことだけれど。 何もかもアナタに打ち明ける勇気を私は持っていない。 怯えているからだ。 アナタが打ち明けられて迷惑に思うのではないかと。 アナタに嫌われてしまうのではないかと。 ……自分がそのことによって自分自身をまざまざと見てしまうことを。 秘密だらけの関係は長く続きはしない。 お互いの深くまでは明かさず、浅く薄っぺらい付き合い。 時が過ぎればいつか自然消滅してしまう。 アナタも何か私に秘密があるのだろうと思う。 それでいい。 それでいいんだ。 アナタが時や場所や想い出を共有し、言葉を交わすのは私だけではないのだから。 私も時や場所や想い出を共有し、言葉を交わすのはアナタだけではないのだから。 アナタと私はお互いがお互いの全てというわけではないのだから。 でもね。 アナタを羨んで仕方がない私がいることだけは、伝えておこうと思うんだ。 私はアナタが羨ましい。 心を打ち明ける人を持っているから。 何もかもでなくても、悩み事を相談したり愚痴をこぼしたりする相手をアナタは持っているだろうから。
わかってるんだ。 これは羨みではなく、ただの僻みだってことぐらい。』 何度も、読み返す。変なところはないかと口に出して読んでみて、ようやくこれでいいと頷く。 きっちりと丁寧に、飛行機の形に折る。 尖った先を手の平に押し付けて硬さを確かめる。 窓に近寄って風が弱まるを待って、構える。 ――いけ。 飛ばす。 空気に乗った紙飛行機は真っ直ぐに、自分を飛ばした手に忠実に飛んで行く。迷うことなどないかのように。途中吹く風にも動じない。 小さくなっていく紙飛行機の行き先を睨みつける。 そして狙い通り、すっとあそこに落ちた。 ――やった! 手を叩き、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶ。 ――やった! やった! 窓からあそこを見つめて、にこにこと笑う。 ――すみれ、勝った!!
一人の女子高校生がそこを覗き込んだ。 公園に設置されたそれほど大きくない二つのゴミ箱の、燃えるゴミのほう。 ほらちゃんと着きましたよとでも言いたげに、少し他のゴミに埋もれかかった紙飛行機。 「負けた」 呟いて腕を組み、公園に隣接しているアパートの2階の窓を見上げる。 「あの子、やっぱり天才かも。紙飛行機の大会ってあったかな」 窓とゴミ箱の距離、約15メートル。 また視線を紙飛行機に戻して、おやと首を傾げる。 紙飛行機はチラシなのだが、何かびっしり書いてあるようだ。 取り出して開いてみる。 ――……手紙? まだ幼い文字だが漢字もちゃんと使ってある。内容がよくわからない。 「ま、いっか。早く迎えに行ってあげないとねー」
ぴんぽーんと玄関から聞こえて、すみれがぱっと笑顔になるのを見て苦笑いする。 「ほら、迎えが来たぞ」 ぱたぱたと先に走って行った後をのんびり行く。 「すみれー、元気してたー?」 「うん!」 玄関では真樹(さなき)がすみれを抱きしめていた。 「おじちゃんにいじめられたりしなかった?」 「うん!」 「俺はおじちゃんか? ってかどうやって入ったんだよ」 「すみれが開けてくれたに決まってるじゃない」 ねーすみれー、と真樹はすみれの頭を撫でる。 「えらい?」 「うん。すみれはえらい。よく我慢したねー」 キャッキャッとすみれがはしゃぐ。 ……我慢させるようなところなのかよ俺の家は。 まぁ、あんまり胸を張れるような綺麗さじゃないが。 「頭いいよなこの子。驚いたぜ」 「当たり前でしょ。わたしのいとこなんだから。なによその目は」 「いや、なんでもない」 制服の裾を引っ張られて、真樹がなに?とすみれを見る。 「あのね、すみれ勝ったの」 きらきらと目を輝かせているすみれ。にっこりと真樹が頷く。 「そうだね。入れられたね紙飛行機。お姉ちゃんの負けだ。約束のご褒美、おうちに帰ったらあげなきゃね。っと、そうそう。これに書いてあるのなぁに?」 取り出したチラシ――一度飛行機の形に折られたものを広げたものを取り出す。 預けたときに窓の外見て勝負だとかなんとか言ってたな。 と思って何気無くそれを見てぎょっとする。 ま……まさか?! すみれが笑顔で 「これね、おにいちゃんのおて」 「真樹何か飲まないか?! な?!」 「へ? あぁ別にいいよ、すぐ帰るし、って、もしかしてなにかやばいことでもあるの? これ」 「い、いや、その……」 図星。 「じゃ帰ろっか、すみれ」 「あー待て! わかった、俺が説明する!」
なんか時間だけがかかって長くなる〜。 その内またやろう〜〜〜。
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